コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2025年11月12日号より
突然ですが、OpenAIがChatGPTをリリースした頃を覚えていますか?
話はOpenAIについてではなく、その頃のGoogleについてです。2023年初頭、Geminiはまだなくて、Bardという生成AIをChatGPTに遅れてリリースしました。メディアに公開されたBardの回答が間違っていたため、Googleが叩かれたりしました。
そこからしばらくは、「Googleの終わりのはじまり」みたいな論調がメディアに出ていたと思います。
曰く、「Googleに生成AIの力は十分あるものの、広告に頼るビジネスモデルのせいで、自ら変革するのは難しい」といったトーンです。
しかし、今それらの記事を振り返ると、ついこの間の出来事なのに、隔世の感があります。今、Google検索が終わるという尾張守(おわりのかみ=オヤジギャグですね)の発言は減ったように思います。
「終わりのはじまり」と書いた記者たちに皮肉のひとつも言いたいところですが、気持ちはわかります。確かに成功体験に執着し、自ら変革できずに失速した企業はたくさんありました。
Googleは、自ら変わることを選びました。
AI Overview(AIによる概要)を出し、AI Modeまで検索に取り入れ、今後はエージェント機能が追加されていきます。
ゼロクリックが増えたというレポートは出続けていますが、Google検索が終わるという記事は減ったように思います。
ところでGoogleアナリティクスも、振り返るとUA(ユニバーサルアナリティクス)からGA4に大胆に変わりました。
サイト分析に携わる私たちは、GA4の使いにくさに相当文句を言っていましたが、とはいえ、私も含めて、結局今もGA4を使っています。
そして、GA4はもう一度変わろうとしているように見えます。
最近の機能追加で、TikTok広告やMeta広告など、広告プラットフォームの費用データとインプレッションデータを連携しはじめています。
サイト訪問者のデータから、サイト外のファネルへ、そのスコープを広げて行こうとしています。
Google検索の変化、GA4の変化、この2つは別々の動きです。ただ、広い意味で共通点があるように思えます。
それは「クリック」やサイト訪問の「トラフィック」というわかりやすいデータが、もはや頼れなくなった、ということではないでしょうか?
ユーザーの課題解決の多くが、サイト訪問前に行われてしまう。その傾向がどんどん高まっているのでしょう。
この変化は、サイト分析のスペシャリスト、広告運用のスペシャリスト、双方にとって小さくない変化だと思います。
クリックに価値があれば、広告担当者は媒体の管理画面だけを見ていればよかったでしょう。同様にサイト分析担当者も、GA4のデータだけを見ていれば済んでいたでしょう。しかし、そのデータから、ビジネス改善のヒントが見つかりにくくなっている。
今後、デジタルマーケティングのデータと計測は、大きく変わっていきます。同時に、データから改善点を見つけ出す私たちのスキルも、変わることが必要だと思います。
では、サイト分析のスキルも、広告運用のスキルも、オワコンになるのでしょうか?
私はそんなことはまったくないと思っています。
まったく逆で、今後、必要なスペシャリストは、サイトやアプリのことも、広告のこともよくわかっている人、あるいはそうした人が集まったチームになっていくと考えています。
もちろん、その向こう側にいるユーザーのことを深く理解しようとすることは何よりも大事です。
Googleが自ら変革を選び、私たちも変わらなければ、ということだと思います。
広告運用者がタグやGAのことを理解し、GA4やClarityのサイト分析者も広告の仕組みやデータを理解する。従来のスキルを高めつつ、その場所にとどまることなく、違うエリアのスペシャリストたちと積極的に絡んでいく。
この両者をリアルな会場で繋げてみよう。そのような思いもあって「a2i秋の広告祭」というイベントを企画しました。
データと計測について、来年に向けて起こる大きな変化について、考えるきっかけになればと願っています。
▼a2i秋の広告祭 デジタル広告の役割を再設計しよう(11/18)
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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