コラムバックナンバー
発信元:メールマガジン2026年7月1日号より
毎月a2iメンバーがピックアップした記事の中から、マーケターやアナリストが「DEEPな視点」で再考すべき5つのトピックを厳選してご紹介します。
2026年6月は、AI検索最適化の記事や、Googleサーチコンソールでの生成AIレポートの提供開始など、AI検索への実践的対応に向けた議論が本格化しました。また、GA4とBigQueryの新機能を組み合わせた高度な分析アプローチや、売上(ROAS)ベースの広告運用からビジネス本来の「粗利」を重視した運用への回帰など、アナリストやマーケターの実務に直結する重要な示唆が含まれる記事が注目です。
「データをどう扱い、意思決定にどう繋ぐべきか」という本質的なテーマを深掘りします。
生成AIでデータ分析にトライすると、多くの方が「結局、BigQueryに統合するのがよいのでは?」という道に進む傾向があります。本記事では、進化を続けるBigQueryの分析手法を紹介しています。BigQueryのグラフデータベース機能(Graph Analytics)を用いて、GA4のイベントデータからユーザーのページ遷移をネットワーク図として描き出す興味深いアプローチです。
◆詳細記事
GA4データのページ遷移を、BigQueryでネットワーク図にしてみた(kazkida.com)
◆DEEPなチェックポイント
BigQuery Graph Analyticsの最大の特徴は、グラフ専用のクエリ言語であるGQL(Graph Query Language)を用いて、データ内のリレーション(関係性)を効率的に表現・探索できる点にあります。
「ページ遷移」という非線形で複雑なユーザー行動を人間の恣意的な定義で単純化(ファネル化)せず、関係性のトポロジー(接続構造)としてありのままに分析できるのです。
例えば、カート追加からチェックアウト、完了までの購買クラスターがきれいに独立して浮かび上がる一方、想定外のページがハブ(中継点)になってユーザーが迷い込んでいる箇所が直感的に識別できます。
SQL一辺倒だったアナリストの分析アプローチを「関係性のモデリング」へと拡張する優れた実践例です。
「GA4になってから以前ほど意思決定に使われなくなった」という現場の不満に対し、ウェブ解析データが持つ本来のポテンシャルと役割について論じたコラムです。接点の複雑化によりWebログだけでカスタマージャーニーが完結しなくなった現代において、ツールの特性に応じた意思決定の役割分担を提唱しています。
◆詳細記事
GA4の重要度は落ちたのか?「Webマーケティングの主役」から「現場改善の計器」へ役割を再定義する(パワー・インタラクティブ)
◆DEEPなチェックポイント
本記事が示す重要な警鐘は、GA4だけでビジネスの最終成果や予算配分までを測ろうとすることの無理です。
組織で扱う数値を、レイヤーA(最終評価:CRM/DWH)、レイヤーB(顧客育成:MA)、レイヤーC(現場改善:GA4)、レイヤーD(投資判断:MMM・統計分析)の「4層構造」に切り分けて管理することが推奨されています。
この設計において、GA4の役割は「売上の証明」ではなく、フォーム到達率や特定遷移といった「サイト内の摩擦(ボトルネック)を特定し、UI/UXを改善するための精密な計器」に特化します。
さらにアナリストの仕事が、GAの画面を見つめる『局所的な分析』から、GA・MA・CRM等の複数データをIDで統合し、全体最適な意思決定を支えるダッシュボード構築(エンジニアリング)へシフトしているという指摘も、極めて実務的です。
ECの広告運用において、媒体の自動入札(目標ROAS)に頼りすぎることによる「ROASは良好だが利益が残らない」という構造的な課題に切り込んだ記事です。取り扱いSKUが数万点に及ぶ小売ECを舞台に、自動入札の挙動をビジネスの「粗利」に近づけるための現実的なキャンペーン設計手法を解説しています。
◆詳細記事
ROASは良いのに利益が残らない ── 多品目ECで広告配信を粗利基準に寄せた設計(株式会社オーリーズ)
◆DEEPなチェックポイント
媒体の機械学習は「売上(コンバージョン値)」の最大化を学習するため、商品ごとの粗利率の違いを認識できません。その結果、知名度が高く売れやすいが粗利率の低い「ナショナルブランド(NB)」に配信が偏り、粗利率の高い「プライベートブランド(PB)」の露出が抑えられてしまう歪みが発生します。
すべての商品粗利をリアルタイムで広告フィードに反映させることが運用・エンジニアリング上困難な状況でも、工夫の余地はあります。本事例では、『PB/NBの分類』と『価格帯』の組み合わせで商品群を5つにセグメント化し、それぞれにキャンペーンを分割するという、実践的なトレードオフ解決策が取られています。
媒体に正しいデータを渡せない制約があっても、商品フィードとキャンペーンの『構造設計』を工夫することで自動入札の学習単位を制御し、粗利獲得効率を高められることを示した事例です。
「AIに引用・推奨されるブランドになるにはどうすべきか」というマーケターの漠然とした不安に対し、AIが情報を探索して回答を生成するメカニズムから丁寧に紐解き、本質的な対策を整理した記事です。
◆詳細記事
AI 検索最適化 2026 決定版(DemandSphere)
◆DEEPなチェックポイント
AI検索における最適化は、従来のSEOの延長線上にありながら、テキストの処理方法や評価指標において異なる次元の設計が求められます。最適化のロードマップとして以下4つのステップが整理されています。
発見可能であること(Discoverability):AI検索エンジンは「AIに自社に代わってググらせている」のと同義であり、Google検索の上位表示(インデックス)を目指す基本は変わりません。
利用可能であること(Usability):AIは複数ソースの情報の一致を確認(コロボレイション)し、重複は除外します。また、JavaScriptを実行しないことが多いため、テキストをAIが処理しやすい「チャンク」へと分解・整理しておく設計が必要です。
言及・引用されるか(Mention & Citation):AIの回答本文にブランド名や製品名が「言及」されるのと、出典リンクにURLが「引用」されるのは別物であり、両者を切り分けてトラッキングする必要があります。なお、AIの「リトリーバル(再検索)」処理が省略される一部の外部APIでの検証は、実際のユーザー体験(SGE結果)と乖離するリスクに注意が必要です。
プロトコル・仕様の適合(Protocol & Schema):AIは商品フィードや、Apple Map/Yelpなどの外部マップAPIデータを多用するため、テキストコンテンツ以外のデータフィードや仕様への適合が死活問題となります。
これら4つの基本ステップを押さえつつも、AI自身も、AI最適化の取り組みもまだ発展途上であることは忘れないようにしたいところです。
残念ながら、急増するAI検索コンサルタントやAI検索ツールは、こうしたノウハウを持っていないことが多いです。
言及に課題があるのに引用の対策をしてしまうとか、そもそもデータソースが間違っているという問題が多発しています。
私たちは「正しいデータ」と「冷静な分析」に基づいて、間違った施策に手を出さないようにしたいものです。
Cookie規制等のプライバシー環境の厳格化に伴い、従来のWebトラッキング(GA4)単体でのコンバージョン貢献度評価(アトリビューション)は限界を迎えています。Googleが自社のオープンソースMMMツール「Meridian」の機能をGoogle アナリティクス 360に統合すると発表したことは、この限界に対するプラットフォーム側の明確な回答と言えます。
◆詳細記事
統合された測定ツールで、データから意思決定へ(Google アナリティクス 日本版 公式ブログ)
◆DEEPなチェックポイント
これまでMMM(マーケティングミックスモデリング)は、膨大な過去データと専門の統計知識を必要とする高コストな分析プロジェクトでした。しかし、GA360への統合により、ファーストパーティデータやクロスチャネルデータを一箇所に集約し、より手軽に予測シナリオのシミュレーションを実行できる環境が整います。
また、Geminiが搭載する予測シグナル『Qualified Future Conversions(QFCs)』も見逃せません。これはブランド検索の動向などをもとに、アッパーファネル広告が将来もたらす売上を紐付ける仕組みで、将来的にMeridianとも連携する予定です。
これにより、ラストクリック依存の測定による『認知施策の過小評価』を防ぎ、中長期的な売上創出におけるメディア全体の貢献度を統計的に推定しやすくなります。
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a2iからのお知らせです。BigQueryについて木田和廣さんが7月のa2iセミナーに登壇します。ぜひ、ご参加ください。
「はじめてのBigQuery生成AI分析 ― 費用と難しさへの不安を解消して、まず動かしてみよう」|2026/7/15(水)
2026/07/15(水)
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