活動報告

開催日時 2020/07/28(火)
会場 オンラインセミナー

2020年7月28日にオンラインセミナー「GAの新バージョン アプリ + ウェブプロパティってどうよ?」を開催いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

レポート執筆
データアナリスト 花輪 慶一

今回のオンライン講演は、第一部、第二部ともアユダンテ株式会社 高田 和資氏とa2i代表 大内 範行の掛け合いで進められました

第一部:アプリ+ウェブプロパティとは何か?


第一部ではアプリ+ウェブと今までのユニバーサルアナリティクスの大きな違いが紹介されました。
主に3つあります。

1つ目 アカウント構造の違いについて
ユニバーサルアナリティクス は、「組織>アカウント>プロパティ>ビュー」という概念があります。データを蓄積する場所は、プロパティです。

アプリ+ウェブは、ビューという概念がなくなり、「組織>アカウント>プロパティ>データストリーム」になります。データストリームという概念が新しく追加され、データを蓄積する場所も、データストリームになります。
プロパティの中に3種類のデータストリームがあります。

  1. iOSのデータストリーム
  2. Androidのデータストリーム
  3. WEBのデータストリーム

データストリームは、Googleアナリティクスの管理画面から作成することができます。
アプリ+ウェブプロパティの大きな特徴として、ユーザーがアプリとウェブの間を行き来した時に同一のユーザーとしてみることができます。

従来の Googleアナリティクスを利用しても、アプリとウェブをまたいだユーザーを測定することはできます。プロパティはアプリ、ウェブとそれぞれ別で作成されますが、会員IDをそれぞれのプロパティで取得し、結合すればできます。ただし、会員IDはGoogleアナリティクスが提供するものではなく、サイト側で用意する必要がありました。会員IDをもっていないサイトはこちらの実装ができませんでした。

今回のアプリ+ウェブは、同じプロパティの中に、アプリとウェブのデータストリームがあり、Googleアナリティクスで用意してある「Googleシグナル」というものを利用し、Googleアナリティクス内で、アプリとウェブのユーザーを結合して計測することができます。会員IDをもたないサイトなども今回のアプリ+ウェブでアプリとウェブを行き来するユーザーを同一人物として紐づけることができるようになります。

また、アプリ+ウェブは測定機能の強化もされています。
今回はウェブストリームについての話になりますが、GTM上のタグ追加設定をしなくても、Googleアナリティクスの画面上に用意されている機能をオンにすることで、自動計測してくれるようになります。

  1. スクロール率
  2. 離脱クリック
  3. サイト内検索
  4. 動画のログ
  5. ファイルダウンロード

ちなみにですが、スクロール率は90%のところまでいくと計測されたり、動画はサイトに埋め込んだYouTubeの動画再生などのデータが取得ができるようになります。

2つ目は、ページビュー、セッション、ユーザーの違いについて
従来のGoogleアナリティクスとアプリ+ウェブの違いですが、計測の概念に変更があります。今回、アプリ+ウェブはデータの構造なども変わり、従来とは別のツールとして意識することがとても重要です。そのため、従来のGoogleアナリティクスとは、タグも別、データの互換性もありません。そのためタグ設定は、アプリ+ウェブ専用のタグが必要です。

ページビューについて
従来のGoogleアナリティクスの場合、「ヒット」はページビューとイベント(カテゴリ、アクション、ラベル)がありました。
アプリ+ウェブは、ページビューも含め、全てイベントのヒットに集約されます。ここは柔軟な頭で考えていただいた方が良いかと思います。また、カスタムディメンションは、パラメータ(ヒット単位)とユーザープロパティ(ユーザー単位)で計測されます。カスタムディメンションはなくなります。

セッションについて
今までのGoogleアナリティクスはセッション中心の分析ツールでしたが、アプリ+ウェブプロパティは、セッションよりは、ユーザーとイベントが中心の分析ツールになります。
例えば、従来のGoogleアナリティクスでは、初めての訪問は、新規New visitorとなっていましたが、アプリ+ウェブプロパティでは、イベントの属性に「first_visit」が付与されます。また、セッションを開始したイベントはsession_startイベントとなり、ページビューは、page_viewイベントとなります。

ユーザーについて
アプリ+ウェブの管理画面でユーザーを識別する選択方法が2つ用意されています。
今のところは、1を選択していれば良いかと思います。

  1. User ID、デバイス別
    UserID > Googleシグナル > デバイス別のID
  2. デバイスIDのみ

デバイス別のID
3つ目は、サイトに設置するタグについて
アプリの場合は、Firebaseプロジェクトを作成してアプリストリームと連携します。
ウェブの場合は、従来のUA IDの代わりに、新たに計測IDを取得します。計測IDを指定して、GTMまたは グローバルサイトタグ(gtag.js)を実装します。
GTMで設定する場合、アプリ+ウェブのために、2種類のタグが用意されています。
1つ目は、「基本タグ」で従来と同じく計測するページに貼ります。2つ目は「イベントタグ」になります。まずは「基本タグ」の実装をします。カスタムイベントを計測する場合に、追加で「イベントタグ」を実装していきます。

  1. Google Analytics App+Web Configuration(基本タグ)
  2. Google Analytics App+Web Event(イベントタグ)

従来の直張りのタグは、グローバルサイトタグ(gtag.js)になります。従来と同じく計測するページに直接貼っていきます。

第二部:アプリ+ウェブ その利点と課題、今すぐ導入すべきか?

第二部は、アプリ+ウェブのレポートと実例です。

従来のGoogleアナリティクスレポートとの違いについて
分析時の左ナビメニューの構成がシンプルになりました。サブメニューはほぼなくなり、サマリー画面内の各グラフ、表からのリンクで表示されます。
また、後述しますが、現在はGoogle アナリティクス有料版だけで利用できる「分析」という高度な分析メニューが、アプリ+ウェブでは利用できるようになっています。

アプリ+ウェブのイベントレポートについて
イベントを開くとpage_viewイベントが最初に表示されています。page_viewをクリックすると該当するパラメーターを見ることができます。上部には基本のパラメーターが表示され、下部には自分で登録したパラメーターが表示されます。パラメーターを表示するためには、別途、画面左メニューにある、すべてのイベントを選択し、パラメーターを登録したいイベントを選択する必要があります。この点は注意が必要です。

従来のGoogleアナリティクス機能で、現在アプリ+ウェブにない機能も、多くありますが、多くはこれから随時追加されていく予定です。あくまで現在はベータ版のためです。

コンバージョン設定の違いについて
従来のコンバージョンは、ページURLやイベントを入力すれば良かったのですが、アプリ+ウェブではイベント単位でコンバージョン設定のON/OFFを制御することになります。
現在の問題点として、目標設定が、イベント単位でしかできない点が挙げられます。このため個別のページを目標に設定する場合、別途カスタムイベントを設定する必要があります。しかし、この点は近いうちに、より簡易で、柔軟な目標設定機能が用意される予定です。目標設定については、追加機能を待つのが良いでしょう。

eコマース機能は、すでにリリースされています。ただ、現状のアプリ+ウェブのレポートUIには、eコマースレポートはありません。今後開発される予定です。
eコマース機能は、従来の拡張eコマースと同等のものが用意されています。従来のものも利用できる上位互換になっています。
チャネルグループは、機能は存在しますが、現時点ではカスタマイズができません。
カスタムレポートについては、「分析」メニューに、より機能強化されたレポートが提供されていますので、そちらに集約されます。「分析」が高機能なカスタムレポートになっています。

他のサービスとの連携
Google広告との連携は、従来通りできるようになっています。
Googleで作成したユーザーリストもオーディエンスという名前に変更されて利用することができます。さらに機械学習で予測して広告に活用することができるようになっています。
YouTube動画広告はGoogleシグナル での計測に期待したいですね。
また、Google Playとの連携もされるようになります。
データポータル連携は、直接コネクタは現在提供されていませんが、BigQuery経由での連携になりそうです。ちなみにサーチコンソールに関しては、アナウンスはないですが、連携される予定ではあるとのことでした。

まとめ

今はまだベータ版で、これから新しい機能が随時加わっていくとのことでした。
また、今回のアプリ+ウェブは、従来のGoogleアナリティクスとのタグなどの管理と異なり、イベント設計がとても重要とのことでした。そのため、SDR(Solution Design Reference)といった計測の仕様書を作り、開発、運用、設計に携わる方々の認識を合わせることが必要になっていくかと思います。
本格的な移行は、2021年以降を目指し、まずは移行というより並行導入して、データ蓄積を開始した方が良さそうです。

出演講師

高田 和資

アユダンテ株式会社
GMPコンサルティング事業部 シニアカスタマーサクセスコンサルタント

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