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こんにちは、プリンシプルの木田です。

私事で恐縮ですが、私は2022年10月1日から1年間、仕事から完全に離れていました。
メンタルも、フィジカルも問題なく、ただただ目的を決めない長期の休暇、いわゆるサバティカル休暇を取得したという訳です。

この記事では、1年間仕事の最前線から離れ、比較的時間のあるなかでWeb解析界隈を見ていて考えたことを皆さんと共有したいと思います。

私の休職中起きた一番の大きな出来事は、間違いなくChatGPTの登場でしょう。

ChatGPTをしばらく触ってみて感じたのは、私のスキル(*)が急速にコモディティ化し、仕事がなくなるのではないか?つまり、ChatGPTは私のキャリアの終わりの始まりを告げているのではないか?という恐怖です。

私のスキル
1)Tableau Prepや、SQLによるデータプレパレーション(前処理)
2)Tableauによるデータの可視化
3)GA4によるWeb解析

そんな大げさな!と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、上述の3つのスキルのうち、データプレパレーションとデータの可視化については、有料版のGPT-4を利用すれば、すでに次のようなことをしてくれます。

1) <データプレパレーション> スキーマ(=列構成)を明示すれば、プロンプト(=文章)による指示でSQL文を書いてくれます
2) <データの可視化> データを含んだファイルをアップロードすれば、プロンプト(=文章)による指示でグラフを描いてくれます

今は、ほしい結果を得るためには、何回かの試行錯誤やプロンプトエンジニアリング(=指示する文章の最適化)が必要ですが、それでも、ChatGPTがデータプレパレーションやデータの可視化のスキルを陳腐化する圧力となることは間違いないでしょう。

私のスキルのうち、残るWeb解析については、ChatGPTはまだ、データの可視化やプレパレーションほどには強い「陳腐化力」は持っていないようです。データの可視化やプレパレーションに比べると、Web解析は方法論が多様だったり、サイトごとに最適解が違ったり、改善のために投入できるリソースが規定する現実解が異なったりするのがその理由だと思います。

しかし、それも時間の問題かもしれません。というのは、デジタルの世界はときに指数関数的に成長します。きっとChatGPTに代表される生成AIもそうでしょう。例えば半年後、今のChatGPTの2倍の、あるいは10倍の性能を持つ生成AIが出てきてもおかしくないのです。そのときその生成AIがWeb解析における私のスキルを陳腐化させる能力を持っていても不思議はないと思います。

少し取り越し苦労気味な認識かもしれませんが、備えておいて損はないのも間違いないでしょう。

では、どんな備えをすれば良いのか?

一つの方向性として、ある技術や分野についての「メタな認知」を持てるようになっておくのが大事なのではないかと思います。つまり、

・SQLは書けないとしても、SQLを書くとできることを知っておく
・Tableauは操作できないとしても、ビジュアル分析のベストプラクティスは知っておく
・Googleアナリティクスは分からないとしても、コンバージョンを増やす方法論は知っておく

といった方向性です。

いずれにしても、今後はどのようなスキルが生成AIに陳腐化されやすいのかを考えながら、仮に自分のスキルが陳腐化されてしまったときにもお客様や自社に対して価値が提供できるスキルは何かを模索し、磨く必要がある。

そんなやっかいな時代が来たな。と思ったのでした。

コラム担当スタッフ

木田 和廣

株式会社プリンシプル
副社長
チーフ・エバンジェリスト

早稲田大学政治経済学部卒業。ソフトバンク系ベンチャーなどを経て、2004年にWeb解析業界でのキャリアをスタートする。2009年からGoogleアナリティクスに基づく解析コンサルティングに従事し、アナリティクスアソシエーション(a2i)や個別企業でのセミナー登壇、トレーニング講師実績も多数。できる逆引きGoogle アナリティクス実践ワザ260など4冊の著作あり。

保有資格
・GAIQ
・統計検定2級
・データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)
・統計検定 データサイエンス基礎
・G検定

主な実績

主な講演

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