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活動報告
開催日時 | 2018/07/18(水) |
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会場 | 東京 御茶ノ水 |
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2018年7月18日に、特別セミナー「顧客が見えればビジネスが動く – Adobe、GA360、Tableau」が開催されました。
今回のセミナーは富士フイルム、ピクシブ、そして第一線で活躍するアナリストの清水 誠氏、木田 和廣氏(プリンシプル)の4講演という豊富な事例と豪華な講師陣です。
レポート執筆
株式会社クリエイティブホープ 成瀬 祥太 (第一部、第三部)
菊原web解析事務所 菊原 晋作 (第二部、基調講演)
清水 千年 氏(ピクシブ株式会社)
高橋 孝太郎 氏(ピクシブ株式会社)
第一部は「ピクシブ経済圏のユーザ行動データ分析と活用事例」というテーマの講演でした。
ピクシブ経済圏とは、ピクシブという創作プラットフォームを基に展開しているサービス群を総称したものです。
今回の講演は各サービスで計測しているデータを横断的に分析して事業に活かすにはどうすればいいかをテーマにしてお話しいただきました。
ピクシブでは
という3つの特徴的なデータが計測出来ており、このデータを活かすことが重要なポイントとなっています。
これまでの体制では、サービスを展開する各事業部が独自に上記データの収集と分析を行っていました。
しかし、この体制では
という3つの課題が発生してしまいます。
また、1ユーザであっても使用しているメディアの違いによりさらにデータが分断され、どのメディアが成長しているのか把握が困難な状態になっていました。
この課題を解決するために
1.データの整備
各サービスは共通してピクシブIDでログインする仕様になっています。
そこで、Google Analytics360のIDとユーザの行動データを各サービスのデータと連携し、BigQueryを使うことで横断的にデータ分析を行うことの出来る基盤を作成
2.運用体制の強化
全ての事業部に在籍するアナリストを一つのグループとみなし経営組織直下の配属とし、ナレッジの共有/蓄積を行うとともに、簡単な課題はチームを横断して解決出来る体制の構築を行うことで、運用の効率化
3.横断レポートの実施
サービス横断でのKGIとして「MAU」「売上額」「利益」を設定し、各事業部でこの数値を可視化。
これを全社で見ることで、会社の成長にどの事業が貢献しているか判断することが可能となり、どの事業に注力すべきかの判断を容易に行えるようにする
4.ユーザ単位の収益の可視化
各サービスで保有しているデータと自社の広告配信サーバのデータも連携することで、ユーザの継続期間と各種データを分析することが可能となり、ユーザ属性とサービス単位でのLTVの可視化が可能とする
という4つの取り組みを開始しました。
このように分析する体制を整えることで、プラットフォームの戦略の決定、事業部の人的リソース配分、マーケティング予算の決定などがスムーズに行えるようになります。
また、整えたデータ基盤を元に、新しいサービスも展開しています。
PATAというサービスでは、サイト内の行動履歴を元にユーザをセグメント化し、最適なターゲティング広告を実現しました。
過去の配信実績を元にセグメントごとのターゲットの見込みインプレッション数を計算することで、通常のCTRに比べて3倍以上の成果を計測しています。
これ以外にも、出版社と協業し、書籍化の際にユーザのファン数やエリアの情報も分析することで初版の発行部数の決定を行うなど、データを使った新しい取り組みをどんどん行っていくようです。
木田 和廣 氏(株式会社プリンシプル)
第二部は株式会社プリンシプルの木田氏より、「BIツール【Tableau】を利用した個別ユーザー単位の分析」について講演いただきました。
冒頭のアジェンダは、プリンシプル社の紹介でした。
GACP(日本で19社保有)やGTM認定パートナー(日本で9社保有)、更には本セミナーのテーマでもあるBIツールTableauの認定パートナーでもあるとの紹介がされました。これらの資格保有状況からもわかるように高品質なサポートが特徴である事が窺えます。
次に本セミナーのテーマに沿った内容に話が進みました。
それは個別ユーザ単位データ分析には、以下の3つの特徴があるという内容です。
1.データが大きくなりがち
個別のユーザデータを分析するということは、膨大なデータボリュームとなってしまいます。これを、Tableauなどの高機能なBIツールであれば、大量データの高速処理が可能となり、スムーズな分析ができる。
2.デーブルが分離しがち
GAのウェブデータとCRM基幹データのように、複数のデータテーブルが異なるフォーマット(形式)である場合、データを結合する必要がでてきます。
それを簡易的にシステムの知識がなくとも解決できるのが、多彩なデータ結合機能を持つTableau。
3.基本指標がとれなくなりがち
セッション、ユーザ数、直帰率などGAでおなじみの基本指標においても、個別データを集める形だと集計が大変だが、これもTableauでは強力な計算フィールドがあるため、問題なく再現できる。
次のアジェンダでは、木田氏が推奨するTableauを利用した個別ユーザの分析事例でした。架空の「結婚マッチングサービス」を提供する会社を例に挙げての分析です。CRMデータとして5万人程度のカラム構造データという前提です。
まずは大きい粒度で会員数・対回数の可視化。さらにドリルダウンし年齢・性別・在籍時間軸などをTableau上でわかり易いグラフを作成しユーザ像の可視化を行い、「気付き」を得て課題と改善施策を明確に出すことができました。
【まとめ】
個別ユーザの分析を行うには、エクセルなどでは機能限界を感じる内容で、相応するツールが必要ということがわかりました。
そして印象的だったことは、ローデータが揃った状態からだと、様々な分析がTableau上でスピーディーに、見やすく、高度に出来る点でした。
清水 誠 氏
第三部は清水誠氏による「顧客を全方位から理解し体験の改善につなげるカスタマーアナリティクスの実践報告」というテーマの講演でした。
企業や商品ではなく、顧客が主役となった時代では「品質や価格だけではなく、共感や体験がビジネスの勝敗を決める」という意識のもと、顧客体験を重視し「一人ひとり」に「最適なメッセージ」を「最適なタイミング」で届けることが重要というお話です。
ところが、解析ツールや企業が設定しているKPIなどは未だに短期刈り取り型の指標が主流となっています。
ユーザの行動ではなく、売上の目標や会員数の増加、チャネルごとの直帰率や滞在時間など、多くのユーザを大きなセグメントで評価している体制です。
顧客を主役として捉える時代のアナリティクスではデータを活用して顧客を理解することが求められます。
アクセスの増減、流入別のCV、CTRやCPAではなく、行動や態度の変化、LTVやサイトの操作性、満足度などページやサイトではなくあくまでも顧客の視点でデータを取得/活用することで、顧客の理解が深まり、優良な顧客体験を提供することが可能となります。
ここからは事例を交えて顧客目線のアナリティクス、カスタマーアナリティクスの実践例をご紹介いただきました。
事例ではいずれも、顧客の購買行動の可視化と行動データの紐づけを元に、顧客理解を深めることで、顧客一人ひとりに合ったコミュニケーションのプランを作成することが重要な要素になっていました。
また、顧客を理解するためにはコンセプトダイアグラムやビジュアライズを用いることでより効果的に顧客の理解を促進することが可能です。
企業目線の効果測定やレポーティングではなく、UIやコンテンツ、マーケティングの改善を顧客の理解からスタートし、施策を実行することが重要になってきます。
一色 昭典 氏(富士フイルム株式会社 )
基調講演は富士フイルム株式会社の一色氏より、「富士フイルムが挑む顧客データドリブンのマーケティング」について講演いただきました。
冒頭は、一色氏の経歴紹介でした。
写真事業部の営業/マーケティング業務を13年、写真専門店活性化のコンサルタントを7年。その後2011年にライフサイエンス事業部Webグループ統括としてEC事業を展開に従事したとの内容でした。
次のアジェンダはintroductionでした。
Philip Kotler氏のDigitize or Dieのメッセージは富士フイルムにとって重要なテーマだったとのこと。この言葉を社の経営層に根付かせるように努めたようです。
過激な言葉だが、それくらいデジタル化は必要不可欠だったようです。競合のコダック社が事業閉鎖する中、富士フイルムが生き残っているのは、このデジタル化の取り組みによるものという点も印象的でした。
また、一色氏はPhilip Kotler氏の「Marketing 4.0」という書籍を推奨していました。
その中で、以下の4つのFで顧客行動が完結すると述べられています。
つまりデジタル上での意思決定においても、「人」の評価やコメントなどの重要性が増すという意図でしょう。そうすると、今後広告の価値は下がると一色氏は言っていました。
次のアジェンダは富士フイルム公式ネットショップが行ったマーケティング事例です。
課題としては、顧客全体の中でメール開封ユーザは6%というリーチの限界にありました。
そこで、デジタル施策のメールマーケティングとアナログのDMの組み合わせを実施しました。
結果、施策前のeDMの開封率と比べ2.6倍UP、DMのサイトアクセス率と比べ60倍で成功を収めたとの内容でした。
更に、メールとDMの組み合わせと送付順のテストも実施しました。
1 DM → eメール
2 eメール → DM
3 eメール → eメール
結果、1は3よりアクセス率は2.3倍、注文率は4.7倍にUPしました。
また、DMはメールと比較し、サイトアクセスにおいて持続性があるという次の施策のヒントになりそうな、興味深いデータもあったようです。
※本分析結果は日本消費者行動研究学会 5/19 第56回研究大会において発表
次のアジェンダでは、フジカラーの写真年賀状プロモーションの事例です。
会員IDを軸にCRMで管理している顧客毎にLTVランクをGA360にインポートを行います。
そしてGAとアドワーズの連携で、CRMで保持していたLTVランクによるリマーケティング広告を実施。結果、従来の行動ベースのリスト配信と比較し、PCでのCVRが21.4倍、ROASは13.8倍。SPが16.4倍、ROASは7.2倍と大幅に成果がUPしたとの事です。
【まとめ】
ユーザインサイトを深く理解するための分析、そして事業課題にマッチしたチームビルディングが重要と感じました。
部署が違うなどの組織的な理由でeメールとDMが分断されている事象は、大いにあると推測される。
オンラインとオフラインの施策をひとつのゴールに向かって結合して考えることが、ユーザの為であり、事業の成果UPの為にも重要な要素と感じました。
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