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今年7月12日の私のコラム「AI時代に必要なのは統計かプレゼン力か?ChatGPTの新機能を試してみた」で、ChatGPTのData Analysis(当時はCode Interpreterのベータ版)を体験し、感じたことをレポートしました。

生成系AIがデータ分析の業務を実行する未来がやってくると仮定して、その時データ分析者にどんなスキルが必要なのかを、ややフライング気味に挙げてみました。
それは以下の3つです。

1)よい仮説を立てるスキル
2)基本的な統計やデータサイエンスの知識スキル
3)プレゼンテーション能力

その後、何度かData Analysisで、Google Analytics(UAとGA4)のデータなどウェブ/アプリ系のデータをテスト的に分析処理しています。
半年弱経過した今この時点で、改めてどんなスキルが必要かを考えてみました。

私がGAやデジマ関連データで実行した主な分析処理は、以下のものです。
・売上と各指標の相関分析
・月次データからeコマースの売上予測
・チャネルや参照元のトラフィック分析
・LPの評価分析
などです。
あくまでテスト的なもので、GAなどのデータはすべて加工しています。

これらの分析処理を対話しながら実行しましたが、ほぼ破綻のない結果が得られています。
正直、まだビジネスレベルで活用するのは時期尚早と感じていますが、ここ半年で間違いや嘘は少なくなっている印象です(まだ散見しますが)。
また、プロンプトもいくつかのパターンや日英で試しましたが、曖昧さを減らせば自然な日本語で、問題なく実行できます。

では、生成系AI時代に、デジタルマーケティング領域のデータ分析者に必要なスキルは何でしょうか?

[仮説立案のスキル]
データ分析は良い仮説から始まります。
仮説立案は、データを通じてビジネス問題を解決するための出発点です。
ビジネスの課題を理解し、それらに対する潜在的な解決策を仮説として形成する能力は、(AIとの対話が助けてはくれますが)変わらずに必要なスキルでしょう。

[統計とデータサイエンスの知識]
統計学はデータ分析の基盤であり、データサイエンスの知識は、より質の高い洞察につながります。
AIの返す分析結果を解釈し、批判的に検証評価するためにこれらのスキルの必要性は、むしろ増すでしょう。

[ビジネス改善を実現するインテリジェンスとプレゼンテーションスキル]
分析結果をビジネスリーダーやステークホルダーに理解しやすい形で提示し、具体的なアクションプランへと結びつけることが求められます。
生成系AIが進化しても、このラストワンマイルのスキルは最も大切なスキルとして残るはずです。

こうしてみると、前回のコラムとほぼ同じですね。

ただ、今回はこれらに加えて、もう一つ「Pythonを理解し、実行できる基礎的なスキル」を加えたいと思います。
以前のコラムでは、コードを書くスキルは必要ないと書いたのですが、前言撤回です。

ChatGPTのData Analysisは、裏側でPythonコードを実行する仕組みになっています。このコードを随時確認することができますし、実行後にコードをダウンロードすることができます。

セキュリティへの配慮、データ量の制約などから、Data Analysisではサンプルデータの分析に留め、重要な実データはセキュアな環境で実行できれば、ビジネスの現場でも安心して活用することができるでしょう。
このスキルは必須とは言えないまでも、当分の間有用であり続けるでしょう。
もちろん、コード生成はAIの得意分野ですから、かなりAIに助けてもらうことができます。基礎的なスキルでも十分だと考えます。

こうしてみると、今のデータ分析者、データサイエンティストに必要なスキルとあまり変わりません。

生成系AIとデータ分析の進化は、データ分析者がより価値ある仕事に取り組める未来だと思います。
生成系AIツールが多くのデータ処理タスクを引き受けてくれれば、データ分析者はより戦略的な役割に集中することができます。
また、対話をしながら分析に取り組むことができるので、私たちの発想も豊かになっていくでしょう。

私たちは未来への不安に惑わされることなく、必要な基礎的なスキルの習得に努めるのがよいと考えます。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表  
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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