a2iコラム
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2018年10月24日号より
少し前のことです。
「ヒロミ・イブクロにGoogle アナリティクスはまだまだ書きたくなることがあるからって伝えてくれ」
Google アナリティクスの関係者から概略そんなことを言われました。
前a2i副代表のでもある衣袋宏美さんがWeb担当者Forumで10年間続けたGoogle アナリティクスの連載をやめてしまったことを気にして、そう言っているようでした。
まだまだ製品が進化するから、これからもたくさん書きたくなることが起こるということなのでしょう。
振り返ってみると今年のGoogle アナリティクスの進化は例年に比べて少なめで、小粒感があります。目立ったものはクロスデバイス レポートと有料版の360用の新しいUI「アドバンス分析」ぐらいでしょうか?
製品も枯れて十分成熟してきたので、新しいことを実現しにくくなった。つまり成長カーブが衰えてきたと、凡庸な製品ならそう考えるのが妥当かもしれません。
でもGoogleですから、むしろその逆で、大きなジャンプの前に低くかがむ姿勢をとっているのかもしれません。
一方で課題もあります。
一つはセッション中心からユーザー中心への移行です。Google アナリティクスは今セッション中心のレポートから「ユーザー」単位のデータへの移行を進めています。
その中でレポート上には、不格好な数値の不一致が目立ちはじめています。例えばレポートによって「新規ユーザー」の値が違うといった現象はフォーラムなどでも話題になっています。
Google アナリティクスが、古いアーキテクチャを乗り越えて進化していくとき、こういった歪みをどこまできれいにできるのか?
無理に増築を重ねて、使う側に混乱が生じないよう祈っています。
もう一つは、クロスデバイスレポートです。
最近リリースされたこのレポートは、Googleアカウントのログイン情報を利用しています。Google 広告の設定でパーソナライズを許可したユーザーのデータが元になっています。
高品質のクロスデバイスレポートが出せるプレイヤーは、この世界にGoogleやFacebookなど限られています。その意味で期待は高いのです。
しかし、私が見た限り、レポート上で確認できるデバイスのクロスした割合は数%と、予想以上に低いように思えてなりません。これは実世界を正確に反映したデータなのでしょうか? それとも今時点では、データが十分に集まっていないため精度が低い状況なのでしょうか? もしかしたらGoogleといえども対象となるユーザーのサンプル数が、十分にない状況なのか?
この点はきっとデータが集まれば、解決されていくことでしょう。長い目で見守っていきたいと思います。
最後はGoogle アナリティクス利用者のネイティブUI離れです。
特に有料版のGoogle アナリティクス 360では、BigQueryにローデータがエクスポートできますから、CRMなどとのデータ統合が活発になってきています。データ統合が増えてくると、ネイティブのUIを使わずに、TableauなどBIツールを使う分析が増えてくるでしょう。無料版でもAPIやデータスタジオなどダッシュボードにつなげてデータを見る方が増えている印象です。最近開いたa2iのセミナーでもそういった事例が多く紹介されています。
「アドバンス分析」という野心的なUIがリリースされましたが、果たしてその魅力はどの程度なのでしょう?
いずれにしろ、まだまだその進化を楽しみにしていたいと思います。
そういえば、衣袋さんには、言われたことをまだ伝えていませんでした。このコラムを読んでくれているでしょうか?
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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