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「Googleが3rd Party Cookieをやめるのをやめる」問題が勃発しました。
ニュースに接した瞬間こそ驚きましたが、やることは何も変わらない、と判断しました。

あくまで私個人の推測ですが、今回の一連の交渉で、Googleが一番プライバシー保護に熱心だろうと考えています。3rd Party Cookieによって恩恵を受けてきたパブリッシャーが、現状と同等の機能を望む中での交渉は、はじめから無理があったように思います。

私自身は、GoogleがGoogleらしく、ユーザーに対して透明性を確保し、プライバシー保護をユーザー自身が判断できる世界を実現してほしいと願っています。
今回のGoogleからのリリースでは、Chromeブラウザにユーザー自身が選択できる新しい機能を実装するとも発表されています。
“サードパーティCookie を廃止する代わりに、Chromeに新しい機能を導入し、ユーザーがウェブ閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行い、いつでもその選択を変更できるようにします”
この機能の実装も、”規制当局と協議しており、展開する際には業界とも連携していきます” とされていますので、腰砕けにならないか心配ではありますが、いずれにしろGoogleは「プライバシー保護に後ろ向き」というレピュテーションは避けたいでしょう。
「ウェブ向けプライバシーサンドボックスの新しいアプローチ」

さて、私たちのやるべきことについて簡単に触れたいと思います。それは、ふたつの「もがき」です。
インターネットで取得できるデータが、ユーザーを可視化してくれる、という幻想が失なわれていく中で、私たちはもがきながらでも、ユーザーに応えていくことを追求しなければダメなのです。

もっとも重要で当たり前のことは、ブラウザの向こう側のユーザーに対して、よりよい体験を提供する、ということです。これについては、株式会社JBN 稲田エイジさんが素敵なコラムを書いてくれました。
a2i史上もっとも長いコラムですが、ユーザーを見るための本質的な「もがき」が書かれていて、とても読み応えがありました。大切にして何度も読み返したいと思います。
【コラム】仕事しようぜ

もう一つの「もがき」は、「良質なシグナルとコンバージョンを生成するデータ基盤を構築する」ことです。自分で書いていてもわかりにくいと思いますが、AIにおいしい餌を与える技術的な「もがき」と言えばいいのでしょうか(余計わかりにくい)。

プライバシー保護の潮流とともに、データ欠損を補うため、AIによる「どんぶり勘定」化の潮流が進んでいます。
オーガニック検索のアルゴリズムは、どんどんAI化が進んでいますし、広告の世界もGoogleのP-MAXはじめ、AIどんぶり勘定の世界が進化しています。

この潮流の中で、私たちが取り組むべきことは、少しでも良質なシグナルをAIに送ることです。あまりよい響きではありませんが、AIが喜ぶ餌を供給するデータ基盤を構築することです。
ファーストパーティーデータを活用することも、そのひとつです。データ基盤を整備することで、「どんぶり勘定」のAIに、よいヒント、つまり良質なシグナルをできるだけ送り込んでいくことが必要です。

今年6月のGoogleのブログ記事によると、GA4もそうしたシグナルを生成するデータ基盤として、一翼を担う覚悟があるようです。どんな機能が出てくるのか、見守っていきたいと思います。
「Google アナリティクスがビジネスに実用的なインサイトを提供する 4 つの方法」

今年から来年に向けて、この二つの「もがき」をa2iでも取り上げていきたいと思います。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表  
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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