コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2023年12月27日号より
今年2023年は、文句なく生成系AIの一年でした。
私も4月から合計9本のコラムをChatGPTの助けを借りて書きました。その経験を共有しつつ、生成系AIと一緒に10本目のコラムを書いてみます。
ChatGPTと書いたコラムは、いろいろな方法を試してきました。具体的には以下の4通りです。
1) 箇条書きでアウトラインを伝えて文章をまるごと書いてもらう
2) ある程度まで自分で書いて結論を書いてもらう
3) テーマを指定してアウトラインを書いてもらう
4) テーマを複数出してどんなコラムが書けるかアイディアを出してもらう
コラムの題名についてはすべてChatGPTに出してもらったアイディアをもとに作成しました。だいたい5つの案を出してもらって、そのオプションを組み合わせて選んできました。
ChatGPTの支援で、コラム作成工程がどう変わったのでしょうか?
私のコラム執筆の工程は概ね以下の流れです。
1) テーマ決め
2) アウトライン作成
3) 文章執筆
4) 校正
5) リリース作業
これらの工程で、ChatGPT支援で解決できなかったのは、テーマ決めと校正処理です。これらは試行錯誤をしてみたものの、ほぼ人間がやっています。
「校正」のように、正確性の要求レベルが高まると、「結局人間がやったほうがよい」という判断になります。
一方で、中間工程のアウトライン作成と文章執筆の段階は、劇的な変化がありました。
2本では、コラムの結論まで書いてもらいましたが、ChatGPTの結論部分をそのまま採用しています。
たとえば4月に初めてChatGPTに結論を書かせた文章は以下です。
「AIは人間の助けとなり、働き方を向上させ、より効率的にする真の可能性を感じさせました。複雑な作業をAIに任せることで、人間の力が不要になるのではなく、再定義される未来へと進んでいるように思います」
いや、「再定義」なんて気の利いた言葉は、私には思いつきません。
ChatGPTの助けで、コラム作成の生産性は平均して約3割向上したといえます。
そのおかげで締め切りのプレッシャー、という精神的負担は、大きく軽減されました。
さて、この経験からどんなことが言えるのか?
では、この辺で、ここまで書いたコラムを渡して、BardとChatGPTに結論を書いてもらいましょう。そして、最後には、私自身が書いた結論も並べてみます。
なお、この結論は、BardやChatGPTが出した最初の結論ではありません。
以下のプロンプトのように修正指示を出して書いたものになります。こうした修正依頼は、ときに有効です。
###修正指示のプロンプト###
ChatGPTを使ってコラムを書くことで生産性は上がりましたが、創造性が増したかといえば疑問です。その点を含めて結論を書き直してください。
###修正後の結論###
■ Bardバージョン
「生成系AIは、私たちの業務を効率化・自動化することに大きく貢献しますが、創造性については、むしろ逆に低下する可能性があります。
そのため、データの解釈力、思考力、表現力といった、新たなスキルや能力が求められるようになるでしょう。
私たちは、生成系AIを活用しながら、新たな価値を創造し、デジタルマーケティングの未来を切り拓いていくために、自らの創造性を磨き上げていくことが求められるのです。」
■ChatGPTバージョン
「2023年、ChatGPTの活用により生産性は向上しましたが、創造性に関しては疑問が残りました。2024年は、この学びを活かし、AIの効率性と人間の創造性のバランスを見つける年になるでしょう。AIは時間を節約し、私たちの思考を拡張するツールですが、真の創造性は人間の感性に依存します。私たちはAIと共生し、人間固有の創造性を維持しつつ、新たな価値を創造する道を探求することが重要です。」
■大内のバージョン
コラム執筆作業は、ChatGPTのおかげで生産性が上がりました。
その大きな要因は、「早く手を動かせた」という一点にあります。勉強でも仕事でも、「早く終わらせるためには早く着手する」ことが鍵だったのかもしれません。
ただ、私のコラムの品質が、生産性改善の分だけ上がったかといえば、答えは「No」です。コラムを読み直すと、借り物の文章が増えてお恥ずかしい限りです。
私にとってChatGPTは、私という怠け者を起動し、無駄に悩んでいた時間を削減してくれる大切なパートナーです。
でも私の文章が、私そのものであるために、やはり最後の仕上げは、自分の頭と手で書いていく。
これが2023年の私の結論です。
—–
皆さんはどの結論がお好きですか?
アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
また、仕事の傍ら、幕末 徳川慶喜についての小説も執筆出版している。
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