コラムバックナンバー

今日は「学びのアウトプット」について、メリットではなくデメリットについて書いてみたいと思います。

本を読む、動画を見るなどのインプットだけでなく、ブログやプレゼンなどのアウトプットの活動が、理解の定着、自分の成長、他者からの信頼につながっていきます。
私も、書籍やセミナー、このコラムなど、アウトプットを重ねて来ましたが、確かに効果は実感しています。
数ある効用の中で、私が特に重要だと考えるのは以下の3点です。
・自分がまったく理解していないことを痛感する
・自分の説明がわかりにくいことを痛感する
・自分が思いつかなかった疑問にぶちあたる
自分自身とのギャップを、外側の視点から見つめることが、自分の成長にとって、特に重要でした。

ただ、私にとって、アウトプットを実行し続けることは、とてもつらいことでもありました。
「アウトプット恐怖症」と私は名付けていますが、その症状は以下のようなものです。
・自分の無知をさらす恥ずかしさ
・他人の視線への恐怖
・自信がないのに無理に実行した落ち込み
意外に思われるでしょうが、私の場合、この症状はかなり重いのです。

いつもこの恐怖がつきまとってきましたし、アウトプットを実行したあとは、ひどく落ち込み、疲れ切ってしまいます。
何度も心が折れ、今度こそやめようと思ってここまできました。

それでもアウトプットを続けてきたので、皆さんに「魔法の克服法」を伝授したいところです。
ですが、申し訳ありませんが、今に至っても克服法は見つかっていません。

これは「高所恐怖症」のようなものです。何度高いところに昇ろうが、慣れることなど期待できず、怖いものはずっと怖いままなのです。
困ったことに、たとえ反響がよくても、この恐怖や実行後の激しい落ち込みは、まったく消えません。
そして、この恐怖症がない人には、永遠に理解されません。
私個人は、この症状と一生つきあう必要があるのかな、とため息をついています。

じゃあ、この場でお伝えできることはあるのでしょうか?
唯一お伝えできるのは、たとえこの恐怖症を抱えていても、結果的にアウトプットし続けたメリットの方が大きかった、ということだけです。

そして、世間にある克服法、例えば「日記からはじめる」「できることからはじめる」「インプットを減らしてアウトプットを増やす」などといったアドバイスは、励まし程度の意味しかありませんでした。

場が小さなアウトプットは、やはり小さな効果しかなく、それなりの聴衆がいる、見る人がいる、という場でアウトプットをすると、その効果も指数関数的に大きくなります。
当たり前ですが、アウトプットの「質」も重要です。質を高めるためには、インプットの量や体験も多くないと話になりません。
インプットの減量や効率化などといったアドバイスは疑問です。

そしてとても悩ましい点ですが、アウトプットは量が決定的に重要です。
つかんだきっかけやタイミング、自分なりのチャレンジ、積み重ねで、量をこなさないと、場も質もステップアップできません。
量の重要度は語り尽くせません。
ただ、これは恐怖症のある人には、とても辛いことです。

結局は、「場 x 質 x 量 – 恐怖心」の計算式ですが、自分自身を納得させるのは難しいです。
恐怖心をいだき、落ち込みながらも、アウトプットを続けていくしかない、と言い聞かせて、今日もこのコラムを書いています。
いつか機会があれば、「アウトプット恐怖症の会」でも開きたいものです。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
また、仕事の傍ら、幕末 徳川慶喜についての小説も執筆出版している。
『ケイキ君と一緒!: 幕末 最後の将軍 徳川慶喜「もしも」の物語』
幕末沼 徳川慶喜よくある質問

主な講演

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