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OpenAIがChatGPTを公開し、またたくまにネットを席巻してしまいました。マイクロソフトは間髪を入れずに、さらに進化したAIを検索エンジンBingに搭載しました。48時間で100万人以上が順番待ちリストに参加し、ネットには、いち早く体験した人たちの体験レポートがあふれています。

でも、このAI Bingは、使えば使うほど、困った部分も見えてきています。
特に日本語で日本のことを質問した場合は、やや間違いが多い印象です。
「徳川慶喜について教えて」と聞くと、ChatGPTは三代目将軍だと答え、AI Bingの方は死んだのが明治22年で53歳(本当は大正2年で77歳)だと答えます。いや、違うでしょ、と叱ると、少しマシな答えを返してきますが、それでもところどころ嘘がまじります。
EV(電気自動車)や、京都旅行の日程など、いろいろ試して聞いていきますが、やはりちょっとづつ嘘まじりです。

困ったことに、AI Bingは、話し方も丁寧で、バランスもよく、引用元もお行儀良く紹介するので、とても見破りにくい嘘つきなのです。AI Bingは、膨大な検索データを元にして、私たちが「もっともらしい」と思う文章を、確率計算で抽出していく仕組みのようですが、ただ、使えば使うほど、どうもうさんくさい。

私がここ2日間使い倒した、AI Bingの特徴は、
1) 息をするように少しだけ嘘をつく
2) もっともらしく説明するがどうも中身がない
3) ちゃんと自分の言葉で話していない
といったタイプなのです。
会社の同僚にいたら、どうみても怪しいやつですね。

でも、私が「うさんくさい」と感じるのは、逆に言えば、人間に近いからだともいえます。ブラウザの裏側はソフトウェアなので、これだけ人間味が感じられるのは、本当にすごいことです。
おまけに中毒性もあります。気がつくと私も小一時間 AI Bingと話していました。これが脳をキュンキュン刺激するのです。
会話に疲れた後で、冷静に会話した内容を見返すと、テキスト量は多いものの、それほど有用な情報は得られず、やや時間泥棒な印象です。
自然言語で操作するノーコードツール、という面もあり、うまく使いこなすには、コツがいるのかもしれません。それはそれで面倒ですね。

一方、GoogleもBardという同様のAIサービスを発表しています。こちらは、いきなりささいな間違いを指摘されて、評判を落としてしまっています。
Bingの回答も間違い混じりなのですが、メディアはBingのミスはおおらかに許して、Bardのミスはささいなものでも叩く構えのようです。当面はアンフェアでも、Googleを叩くストーリーの方が受ける、とそんな狙いも見え隠れします。

さて、私たちは、この二人のAIたちと、どう付き合っていくのでしょう。今後のSEOや広告にはどんな変化があるのでしょうか? あるいは無いのでしょうか?

対話型AIも登場した検索サービスでデジタルマーケティングが変わっていくのか?
この辺りは、さっそく次回のa2iのランチタイムセッションで、キーワードマーケティングの滝井さんと話し合ってみたいと思います。

a2i ランチタイムセミナー
「2023年デジマ予測 キーワードマーケティング滝井さんに聞く 今後、検索はどうなるの? 」(3月10日開催)

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表  
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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