コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2022年11月30日号より
今回はデジタルマーケティングに影響がありそうな、ブラウザの話題を2つご紹介します。
1) サーバー発行のCookieも期限が条件により7日間になる
一つ目は、ITPがより厳しくなった、というお話です。
ITPの影響を受けないはずのサーバー発行のCookieも、ある条件を満たさなければ、7日間を期限として削除する、という新たな仕様が導入される予定です。
これは、ITPを回避するGTMのサーバーサイドタグに影響するアップデートです。
昨年、今年とアップル主導のITPにより、広告だけでなく、Google アナリティクスなど解析ツールの計測データも影響を受けました。皆さんの記憶に新しいことと思います。
ここで、関連するITPの仕様をおさらいしておきます。
JavaScriptが発行するファーストパーティCookieは、その期限が7日間に制限され、さらに広告のリンクをクリックして訪問した場合は、その期限が24時間に制限される、というものでしたね。
このITPは、あくまでJavaScriptが発行するファーストパーティCookieが対象で、サーバー発行のCookieはこの制限を受けない仕様になっていました。
そこでGoogleは、GoogleタグマネージャーとGoogleクラウドプラットフォームを組み合わせて、サーバーサイドタグという新たな仕組みをリリースしました。
Googleクラウド上のサブドメインから、Google アナリティクスなどの計測用Cookieを発行する仕組みを実現したのです。
GTMのサーバーサイドタグについて、GoogleはITP対策とは打ち出していませんが、明らかにそれを狙ったものと見て間違いないでしょう。
さすがにこの仕組みを制限するのは、技術的にも難しそうに見えました。
しかし、アップルはこのサーバーサイドタグも、そのIPアドレスをチェックして、制限をかける決断をしたのです。
具体的には、Cookie発行サーバーのIPアドレスが、ウェブサーバーと同じ場所になければダメだぞ、という新たな条件を加えたのです。
同じ場所かどうかは、IPアドレスの前半で判断します。たとえば、 IPアドレスが 162.241.218.208 の場合、前半分の162.241 が、ウェブサーバーと同じであることが条件になります。この前半部分が違えば、たとえサーバーから発行されたCookieでも、7日間で消去されてしまいます。
GTMのサーバーサイドタグを設定するなら、Googleクラウド上にウェブサーバーも設置する対応が必要になる、ということです(厳密にはこれ以外にも対応方法はあります)。
正直、技術的には汚い仕様なのですが、こうした手段を使ってでも、アップルはITPを徹底させるんだ、Cookieをめぐるチキンレースに終止符をうつんだ、という頑固な意志が感じられます。
2) マイクロソフトのEdgeブラウザとBingがじわじわ増加
トピックの二つ目は、日本市場でマイクロソフトEdgeブラウザのシェアがじわじわと上がっている、というお話です。
これに伴いEdgeのデフォルト検索エンジンであるBingのシェアも存在感を増しています。
インターネット・エクスプローラのサポート終了が今年の6月でしたので、それに伴う流れですが、ややそれ以上の伸びがあるようにも見えます。
ただし、あくまでデスクトップのブラウザに限ったお話です。
デスクトップに限定したシェアで、今年はじめ15%程度だったEdgeブラウザが、3月以降じわじわと上がっています。直近10月のシェアは、23.89%になっています。
Edgeブラウザのデフォルト検索エンジンは、同じマイクロソフトのBingです。Bingの日本でのシェアも、デスクトップに限って見れば、9%から17%まで上昇しています。
B2Bサイトの場合、あらためてGoogle アナリティクスでデスクトップのブラウザ別のトラフィックをチェックしてみるのがよいでしょう。
私が見たいくつかのB2Bサイトでは、Yahoo! JapanよりもBingの検索ユーザーの訪問数の方が多い状況でした。
モバイルまで含めれば、Chrome(70%)とSafari(27%)に比べ、Edgeブラウザは15%弱と及びませんが、B2Bビジネスなど会社のデスクトップから訪問するユーザーが多い場合、Bingでの広告やSEOを検討しはじめる時期にきています。
※ブラウザシェアは Global Stats “Statcounter“から
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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