a2iコラム
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2022年6月29日号より
「人は自分のアウトプットを他人の目で見れない」
これ、私の中でとても大事なテーマです。日々この問題と格闘しています。
先日、ヒートマップのレポートをもとに、ページの改善について話し合う機会がありました。こうしたサイト改善は、私が好きな活動で、ユーザーテスト結果やヒートマップのレポートを見ながら、制作チームで改善点を話し合っていました。
いろいろ見ている中、ヒートマップが濃くなっているあるリンクをクリックしてみると、モバイルに最適化されていないページが突如出てきました。果てしなく横スクロールしないと見れない、ユーザー体験が悪いページです。
もう何年も運営し、多くの人がアクセスをして、ページの更新も重ねてきたのに、気が付かなかったのです。その昭和のデザインのページは、誰かが気づいてくれるのを息をひそめて待っていたのかもしれません。
でも、これは起こりがちなことで、どうしても自社サイトの制作側は、「他人の目」でアクセスできず、いろいろ気づきが遅れてしまいます。
私はプレゼンを準備するときも、「他人の目」を持つために工夫をしています。
アナリティクスアソシエーション(発足当時はアクセス解析イニシアチブでしたね)を開始した当初、自分でも積極的にプレゼンをする機会がありました。
あるとき、ダブルヘッダーといいますか、人気のある講座だったので、1日に二回同じプレゼンをやる機会がありました。これが、あきらかに二回目の方が何倍も調子がいいのです。
もちろん二度目だからスムーズに話せたのですが、それ以上に、聞いている相手の立場が手に取るようにわかり、それに合わせて説明が話せる感じなのです。同じスライドを使いながら、話していることは大きく違っていました。
そのとき、他人の目にいったんさらしたことが、二回目に改善された大きな要因だと気づきました。
私は文章を書く機会も多いのですが、雑誌や書籍の文章、長めの力の入ったコラムを書くときは、公開前にできるだけ他人に見てもらうようにしています。
これも、いったん他人の目にさらすことで、どんどん自分の中で改善点が浮かんできます。書き上げたときは「完璧だぜ」と思っていたのですが、とんでもない。改善点の山です。
この「他人の目にさらすこと」ですが、他の方からのフィードバックは必ずしも必要ありません。
え?フィードバックや感想、改善点を言ってもらうためにやるんじゃないの? と思うでしょうが、そんなことはありません。
それ以前にアウトプットを、他人の目にさらした瞬間、自分自身が他人の目を獲得します。その途端、改善点に気が付きます。
プレゼンの場合は、二人以上の観客に向けていったん通しで本気でプレゼンをします。
文章の場合は、「読んで感想をください」とか「チェックしてください」と言って送信ボタンを押します。仮とかでなくて、かなり本気で送信します。この本気度が高いほど、メールの送信ボタンを押した途端、気づきがいろいろ浮かんできます。
自分たちが作成したサイトの場合は、他人がいじるところを動画に撮ってもらう。ヒートマップや個票分析などユーザー行動を可視化します。
私は歌を歌いませんが、録音した自分の歌を聞き直すのは、極めて効果的だと思います。
おそらく、ひと仕事終えて歩いているときやシャワーを浴びているときに、思いつきが多いのも、自分の思い込みから距離を置けるからだろう、と思います。
もちろん、人によって、はじめから完璧なアウトプットを出せる人もいるでしょう。私はダメです。自分のアウトプットを客観的に見れないので、自己満足度が高く、他人にさらすプロセスが必要です。
そんなわけで、私は最初に書き上げた文章やスライドに直しが多い人間です。しかも、他人の目にさらさないと改善ができない人なので、同僚や、校正の方、編集の方に多大な迷惑をかけてしまいます。「できました」と送った先から修正点を思い付きます。スタッフの皆様、ご迷惑をおかけしております。この文章もきっと見直しが入ります。
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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