コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2022年2月16日号より
河本薫さんの「データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考」を読みました。まだ読んでいないあなたにとって、必読書だと思いましたので紹介します。
河本薫さんは大阪ガスでビジネスアナリシスセンター所長をつとめ、その後、滋賀大学のデータサイエンス学部教授としてデータサイエンス人材の育成に取り組んでいます。a2iでも二度ほどご講演をお願いし、快くお受けいただきました。
さて、この本の題名には「思考」という言葉があります。
「思考」は、「方法」や「対策」よりも抽象的な響きです。でも読み終わった後言えることは、この本が具体的すぎて読む側に痛みがあるぐらいの本だということです。
これはデータ分析と活用の「方法論」が書いてあります。でも、KPI設定やセグメントなどの分析手法は書いてありません。
一行でまとめると、
「意思決定プロセスにデータを活用する思考のステップと、立ちはだかるぶ厚い壁を壊す解決策」
が書かれた本です。
「考え方のステップ」が具体的に解説されていますし、巻末にはシートも用意されています。
「方法論をどれだけ理解しても、行動に移さなければ意味がありません」
と河本さんもハッパをかけてくれますので、すぐにやってみよう、と思える本です。
ところが、これが実際にやってみると、かなり難しいことに気が付きます。
それは自分の問題と課題設定の、根本がぶれているからだ、と気づくのです。これがまずズキズキ来ます。
そして、もう一つは豊富な事例とそのリアリティです。この事例たち、架空の設定になっていますが、非常にリアリティがあるのです。
本を書くと、具体的でリアリティがあり、多くの人が共感できる事例を挙げるのが、結構難しいです。
事例に力を入れているのは、河本さんがどうしても伝えたい、変えたい、と思いながら書いたからでしょう。
読み進みながら、これらの事例を読むたびに、自分が苦しんだ過去の出来事が出てきます。思い出したくなかったのに……。
読み進む上で、楽しみが一つあります。
読み進むと、時々、ちくりとした痛みを伴う言葉が書いてあります。
経験があると、そういった言葉に触れるたびに、「いや、これあったわー」と笑い、「こういう上司いたなー」と苦笑いします。そして、その後で、「何もできなかったなー」と遠くを見ます。
ここではそのうちのほんの少しだけを、引用しておきます。
「(日本企業にデータ人材を育成して送り込んでも)明治時代の工場に産業用ロボットのエンジニアを持ち込むようなもの」
「ビジネスの役に立たない「データ分析」ごっこ」
「経営会議の資料で数字がたくさん並んでいても、(中略)将来をお絵かきした数字にすぎない」
この本は、あなたが少しでもデータ分析と活用に取り組んだことがあれば、うなずく箇所が多くあり、読み終わると「よしやってみよう」と勇気づけられる本です。
かくいう私は、河本さんの「思考」を、ふがいなさがマグマになったぐらいに熱い思いと感じました。
その思い、しかと受け止めました。
「データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考」
河本薫 (著)
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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