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オリンピックでサッカー日本代表はメダルを逃すという残念な結果になりました。ただ、その中で日本サッカーに大きな影響を及ぼす、小さな革命的なできごとがあったんです。
日本対スペインの準決勝。最新のテクノロジが日本を救った場面がありました。後半10分すぎ、ビデオ判定(VAR)が、あわや失点のピンチから日本を守ったできごとです。
センターバックの吉田麻也が、危ない場面でスペイン選手にスライディングを仕掛けました。主審は笛を吹きPKの判定です。ここでVARの登場です。
ビデオを見ると、吉田のスライディングはぎりぎりでボールに触っていて、人に対するファウルではありません。PKの判定が覆ります。決定的なピンチでしたが、技術を使った調査データが日本を救いました。吉田選手のレベルの高さも、見事に映し出したのです。
日本サッカーは、ずっとずるがしこさが足りないと言われ続けてきました。でも技術による調査確認がちゃんと光を当ててくれるなら、日本選手はずるくなんかならずに、技術をこつこつと磨いていけば報われるのです。
「正直でまっとうな日本サッカーが報われる」サッカーにもそんな時代が来たのだと思いました。

次はEC企業のお話しです。
あるお店ではじめて顧客のアンケート調査を実施しました。するとアンケートに寄せられたコメントから、サポートセンターの接客が非常に感謝されていることが明らかになったのです。
実は、クレームが来るカスタマーセンターは、「接客の質が低い」と決めつけられてきた嫌いがありました。一つでもクレームがあると、どうしてもそこがネガティブな意味で目立ってしまうのでしょう。
しかし、アンケートを通じて届くお客様の声は、むしろ少ない人数で黙々と丁寧に接客してきたカスタマーセンターこそ、ロイヤリティ向上に大きく貢献していたことを、照らし出したのです。

データ分析を通じても、何度も似たようなことを経験しています。
ECサイトと店舗のデータが顧客IDでつながると、両者を行き来するお客様の重なりが見えてきました。そのデータを見て、ECチームと店舗チームの縦割りの壁がなくなり、ネットと店舗が自然に協力するようになったお店がありました。そうした垣根を超えた取り組みは、チームの喜びにつながっていきます。

社員のモーチベーションや満足度も、最近はテクノロジを駆使したデータが使われはじめていますね。
こうした調査を見ると、手厚い福利厚生やインセンティブ、あるいは強いリーダーシップなんかよりも、実は何気ない日々のコミュニケーションの多さや、まめな進捗確認のやり取りが、社員とチームのモーチベーションに大きく貢献していたこともわかってきています。一見目立たない人が、実はチームのハブになっていたり、何気ない確認と感謝をする控えめな上司が、クリエイティブな仕事と高いモーチベーションの源泉になっていたり、といったことがわかるのです。

データや自動化が仕事を奪う。そういう側面もあるでしょう。一方で、データや調査が、隠れていた影のヒーローや活動に光をあてることもあります。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表  
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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