コラムバックナンバー

前回の私のコラムはほぼ愚痴になってしまいました。ほんの少しだけ反省しています。
「iOS14 アプリ広告計測がわかりにく過ぎて辛いです」

今週もアプリ計測について続きを書きますが、これからのことを展望してみます。
しばらくウェブの3rd Party Cookie禁止の話題が中心でしたが、AppleのiOS14.5 から、IDFA(広告IDでデバイスIDということもある)を計測データに使うためには、ユーザーの許可が前提となります。
アップルのCM* を見ると「許可しなければ世界は美しい」という宣伝ですね。IDFAを許可するユーザーは半分以下に激減します。ウェブよりもはるかに影響は大きいです。
https://youtu.be/EeO6qzmYBhY

アプリ内のユーザー行動は、Firebaseアナリティクス(GA4)の場合、インスタンスIDというCookieに似た内部IDを使用するので、引き続き計測はできます。
一方、広告とそのコンバージョンはIDFAなしには計測できません。
そこでSKAdNetworkという裏からこっそり匿名で広告のコンバージョンを伝える仕組みがアップルにより導入されました。しかし、これが難しくてわかりにくいです。

Google広告は、SKAdとはまた別の取り組みを導入しています。
それは機械学習の予測モデルで、許可しなかったユーザーの広告からのコンバージョンを、よろしく推定してくれる、という仕組みです。
IDFAが取れないユーザーの広告コンバージョン分を、「多分このくらい」とGoogleが報告してくれます。
この予測モデルの適用範囲は広がり、今後、アプリだけでなくウェブ側(同意モードの非同意ユーザーのCV予測)でも主流になると思われます。

ここからは推測が入りますが、GoogleはAndroid側のデータや、SKAdNetworkのコンバージョン数などを使って、この予測モデルをどんどん改善していくものと思われます。
現在はGoogle広告に実装され、おそらくGA4とも連動をしていくでしょう。

私としては「これでいいんじゃない?」と考えています。
もちろん、個別にコンバージョンが取れた過去の思い出と比較すれば、不満の多い状況です。まだまだ制約もあり、たとえば、現時点ではコンバージョンの価値や金額は適用できないので、ROASがターゲットにできないようです。

しかし、割り切って考えれば
1. データがまったく取れないよりははるかにいいんじゃない?
2. わかりにくいSKAdよりましじゃない?
3. Google以外に予測精度が高いプレイヤーはいないでしょ?
となります。

もちろん、ブラックボックスだとか、恣意的に操作されるなどの疑いは、ありますが、Googleはそれほど邪悪ではない、というか邪悪にはなれない構造でもあります。
どのプレイヤーよりも監視の目が厳しいですし、予測モデルのソースとなるデータも多く、その精度は他のプレイヤーよりも高いでしょう。

チャーチルの有名な言葉に「民主主義は最悪だ。これまでの他の政治体制を除けばだが」というのがあります。Googleの広告コンバージョン予測も「悪夢だ。他のすべての方法を除けばだが」となるでしょう。
ITPやSKAdNetworkの汚い仕様に付き合うのは時間の無駄です。恐れやストレスで投げやりになったり、結論の出ないデータの深掘りに時間を使うよりは、機械学習の予測にまかせてしまって、その時間を広告キャンペーンのストーリー作りや、クリエイティブ改善に使いましょう。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

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