コラムバックナンバー

これまで a2iでは、ウェブ解析だけでなく、モバイルアプリ解析についても、FirebaseやAppsFlyerなど、年に一回のトピックとしてセミナーを開催してきました。
アプリ解析のセミナーも毎回満席になる人気ですが、セミナー参加者の顔ぶれはウェブのときとは変わり、エンジニアの方が中心になってきます。

モバイルアプリ開発は、人材不足なアプリエンジニアへの依頼も高額になりますし、アプリ本体の開発負荷が高いので、ユーザー行動データの計測、Firebase Analyticsのイベント設定などのために、ちゃんと開発費用をかける、というのは難しい環境でした。データ解析なんてとてもとても、と、どうしても後手に回ってしまう企業が多かった印象です。

しかし、アプリ開発でもノーコードやローコードと呼ばれるサービスが急激に増えてきました。ノーコードと聞くと、第一印象として「ちゃちい」ものに思えるかもしれませんが、今やそのイメージは完全に様変わりしています。
プロトタイプ作りであれば、数日でもできてしまいます。そうはいっても、本格的なリリースまでのラストワンマイルは、想像以上に大変なのですが、それは開発の問題というより、コンテンツやサービス内容の品質整備の話です。
市場はこれからどんどん変わり、これまであきらめていた人たちも参入しはじめます。今まで「アプリなんてうちの体力ではとても無理」と思っていた事業者が、アプリに乗り出す取り組みが増えていくでしょう。

ではノーコードアプリのデータ解析環境、いったいどうなっているのでしょうか?

ウェブのサイト制作でもノーコードの広がりはアプリ以上に大きいです。ただ、こちらは、メジャーどころのノーコードツールがすでにGoogle アナリティクスに対応しています。
特にECストア系については、Shopifyを筆頭に、Wixなどもページビューなどの基本データだけでなく、拡張eコマースに標準で対応済みです。
まあ、今後GA4に対応するかですが、急ぐ話ではありません。
新規制作もすぐできて、改善も容易で、データ解析もできるわけですから、申し分ありません。

しかし、アプリの方は様相が違います。
一通り、アプリのノーコードツールを見ても、Firebase Analtyics などへの対応をうたっているものは少なく、ウェブビュー部分でウェブ側のGoogle アナリティクスに対応している、と主張していたり、古いGA Apps SDK(すでにサポート切れ)の説明をまだ続けているサービスもあったりします。私が見た限り、まだまだな感じです。

アプリこそ、UX改善や機能追加への対応は待ったなしです。アプリはロイヤルユーザーとのコミュニケーションが主な目的でしょうから、データに基づく改善やプロモーションを怠っていては、かえって顧客離反やブランド低下を招き、逆効果です。
今後アプリ用ノーコードプラットフォームの選択では、「アプリ制作が簡単」なだけでなく、「改善しやすい」「計測しやすい」ものを選ぶことが、生命線になります。

アプリ用のノーコードサービスも、データに基づくアプリ改善をうたう「計測しやすさ」を一丁目一番地においたサービスが待たれるところです。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表  
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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