コラムバックナンバー

今年最後のコラムとなります。
2020年は新型コロナの感染者数が主役の年でした。米国のタイムマガジンは今年を「Worst Year Ever(過去最悪の年)」(12月14日号)と宣言しました。そんな年です。そのまま年を越してしまいそうです。

アナリティクスに目を向けても、「最悪」とは言わないまでも、混乱の年でした。プライバシー保護とCookieへの影響、計測データに疑念と不安が生じた1年でした。
Google アナリティクスの新バージョンという名のまったく違うツールも正式リリースされ、なんといいますか、進化しているのか、退化しているのか、わからない1年です。

このコラムでは新型コロナとアナリティクスを無理やり結びつけて語ってみます。
決して愚痴を言いたいわけではなく、新型コロナも、ウェブやモバイルのデータ分析も、日々変化する見えない相手のデータ分析は困難の連続です。でも受け入れて継続し、経験を積むことが大切です。

・見えない相手をデータで捉える
見えないウィルスを、検査データで把握しようとする点は、見えないユーザーを可視化するアナリティクスの取り組みと共通しています。

・計測データの不安定さと導入設計の大事さ
感染者数(正確には陽性者数)の元となる検査数が不安定で歯痒い点は、今年AppleのITP対策で揺れたGAの姿と重なります。
感染者の増加は、検査数が増えたからだ、という指摘が出つづけますが、その正確な検査数さえ、把握困難な状態が続いています。計測データが保健所とその他で分散して集約しづらい。FAX、電話など手作業が多くミスが発生しやすい。最近でも東京以外の検体が東京都の検査数に集計されていたり、と混乱が続いています。
大変なのは理解しつつも、検査データを集計するデータ環境は、もう少しまともにならないものかと思います。
何か起こった時に、早い段階で計測環境が整備され、情報が集約されることはとてもとても大切です。
一方で全国民検査を主張する、費用と時間を顧みない完全主義も一時期目立ちました。完璧なデータの追求は、思考停止と紙一重です。

・多角的な指標を見ることの重要性
データは一つの指標だけでなく、多角的に分析して捉えるべきですが、ニュースでは感染者数だけ、日々の増減だけが語られ続けています。
重症者数や死者数、陽性率や実効再生産数、発症日別で見たトレンドなど、他の指標を見ればよいのですが、複雑な語り口は人々に浸透しません。
ページビューだけが一人歩きする感じと似ています。

・犯人探しより検証の準備を
日々変化するデータから因果関係を特定するのは極めて困難です。その点もアナリティクスと共通しています。
感染増加の原因が、Go Toトラベルなのか、他の要因なのかは、集計データの分析だけで突き止めるのは限界があります。
あらかじめ犯人を決めつける「犯人探し」もソーシャルなどで目立ちました。Go Toを犯人にしたい人、入国制限緩和を犯人にしたい人、気温の低下だけを真犯人だと言いたい人、いずれも結論から逆算して、データを出しているのが印象的でした。
原因は複合的です。因果関係の特定に時間をかけずに、完璧でなくても、手を打っていくこと、そして後から検証可能にしてその打ち手をはじめることが大事です。

・事例にひっぱられる
芸能人の死は、悲しいできごとですが、それがすべてではありません。目立つ事例は一人歩きしやすいものです。
集計データと個の深掘り、両方の併用が分析には大事ですが、常にある程度のサンプル数を前提に議論することが大事です。

完璧なデータはありません。だからといって二者択一で切り捨てないことです。限られたデータでも継続的、多角的に辛抱強く分析を続けていくこと。
不完全なデータからの仮説でも、検証可能な準備を整えて施策を打っていくこと。仮説が否定されても受け入れること。そして、発信する側のデータの伝え方が大事だと痛感します。
こうした経験の積み重ねが見えない相手へ対応する唯一の方法です。前に進んでいくことが大切です。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。

主な講演

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