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新しいGoogle アナリティクス アプリ + ウェブのサービス名がGoogle アナリティクス 4(GA4 = ジーエーフォー)に変わりました。サービス名だけでなく、この新バージョンは計測方法やデータ構造まで含めた大変革です。でも今日はその話題ではなく、「いや、よくここまで変えるよな」というお話です。

外資系企業(Microsoft や Google) での拙い経験では「あるある」なのですが、製品名やロゴを変えたり、それまで続けてきたサービスを捨てて根本から作り直したり、リリース直前のサービスをあっさり捨ててしまったり、といった風景をずっと見てきました。

Googleは特に大胆(乱暴?) で、最近では G Suiteが Google Workspaceに変更になり、Googleアナリティクスの新しいバージョンは GA4 になりました。
私たちはその度に、新しい対応を迫られ、資料を作り直しながらぶつぶつ文句を言うわけですが、一方で「まあ Googleだから仕方ないか」とあきらめつつ「これが強みでもあるな」と半ばまぶしくもあるわけです。

さて、新型コロナの中、給付金やマスクの配布を通じて、日本のITがまったくダメダメなことが明らかになりました。政権交代を機にデジタル化が盛り上がっています。「ハンコや領収書をやめるぞ」という掛け声も高まり、いよいよ日本も変わる機運でしょうか?

なくす方はともかく、新たな基盤を作り上げる取り組みは、そう簡単ではありません。
企業もデジタル化推進にはかなり苦労しています。企業の組織やプロセス、技術が、変革に対してシンクロすることが不可欠ですが、なかなかそうはいきません。これまでのサンクコスト(回収できなくなった埋もれた投資費用)にこだわってしまったり、縦割りをこえた最適化に踏み出せなければ、中途半端につなげたシステムやかえって手間がかかるプロセスができあがってしまいます。

たとえばマイナンバー。
マイナンバーのID管理で、スマートなサービスを実現する取り組みは、日本政府が推進するデジタル化の要でしょう。これから新しい取り組みがどんどん推進されていく、という期待感が先行しています。
でも早晩、改修の時間とコストが巨額になり「根本から作り直した方が速いのでは?」という議論が起きるでしょう。これまでのように、中途半端に妥協点を見出しながら建て増しをしていけば、手に負えないゾンビシステムができあがることでしょう。

一方でこの状況を乗り越えて進むには、サービスを受け入れる側の私たちも、変化に対応することが必要だと感じています。正しく前向きな変革なら、多少の混乱やトラブルも「改善し続けるベータ版」として受け入れる姿勢が持てれば助けになるはずです。減点主義で常に失敗の責任を糾弾する世論ではなく、変革に対し建設的でおおらかな姿勢を持ちたいと思います。

2020年代のこれからの10年間、企業も国家もデジタル化の変革に対応できるのか? これを書きながら、本音では不安がありつつも、日本の運命を決める重要な10年を楽しんでいきたいと思います。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
また、仕事の傍ら、幕末 徳川慶喜についての小説も執筆出版している。
『ケイキ君と一緒!: 幕末 最後の将軍 徳川慶喜「もしも」の物語』
幕末沼 徳川慶喜よくある質問

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