コラムバックナンバー

3回シリーズのリレーセミナーを開催しています。このコラムが出る日は、2回目の木田和廣さんのセミナーがオンラインで行われています。500名の上限で実施していますが、2回とも開催前に満員になり、地方からの参加も出てきています。セミナー会場で開催していた時より、圧倒的に多くなっています。

6月3日に実施した私の講演のはじめに、「不確実な世の中になるので、よりデータが重要になる」というお話をさせていただきました。

ポイントは3つです。
1) 誰も今後が「わからない」。
2) そして変化しているのは確実です。
3) 変化の中、リーダーは前例のない、これまでと違う難しい決断をしていきます。
私たちデータ分析者は、世界が変化する中、リーダーの決断を支える重要な立場にいるのです。なんて幸運なことでしょう。

例えばどんな変化があるでしょうか?
私たちのリモートワークの頻度が上がれば、それだけでも、自宅でネットに向かう時間が増えます。週に1-2時間の増加でも、年間一人当たり100時間前後増えることになります。では、あなたが分析するサイトのアクセスも増えるはずですよね? (もちろんそれは業界、サイト、時期によって違います)

この仮説一つでも、自分たちのサイトの訪問数や滞在時間を見る必要性が生まれます。
変化の有無や規模を確認して、決断に必要な「根拠」を出すために、直近のお客様の行動データを見ていくことはとても重要です。

私は今、「根拠」という言葉を使いましたが、これはふさわしくないかもしれません。
当然、その「根拠」は仮説でしかありません。
データ分析者がそんな言葉を使えばお叱りを受けそうですが「拠り所」と言った方が正しいと私は思っています。

もう一つ私が強調したのは、「正確性」をいたずらに追い求めない、ということです。これもお叱りを受けそうですが、ウェブやモバイルのサイトやアプリの行動データは、それ自体、壊れやすく、また常に変化し続けるものです。
条件を整備した完璧な実験室は作れません。

それでも私たちはその行動データの変化に、背景となるユーザー心理を想像して「ストーリー」を作っていきます。
リーダーの決断は、その「ストーリー」に応える形で進みます。広告予算を増やしたり、キャンペーンを打ち出したり、サイトを改善したり、ソーシャルへの取り組みに邁進していきます。

分析と施策の実行。そして評価。
この回数=経験が増えていけば、チームは変化に対応できる強いチームになっていきます。
もちろん、そこには多くのはずれや失敗が起こります。
私の講演では「仮説ははずれてナンボ」というスライドを用意しました。
私自身も、自分の仮説がはずれた時に、より深く分析と洞察をするようになり、分析スキルが成長していったと実感しています。

一人の分析者だけでなく、リーダーと分析者、そしてチームがより多くの経験をしていけば、その学びから、本当に変化に強いチームができていきます。
次に何か新しい施策を実行する際、仮説が何か、そして、それをどう計測し評価するか、自然とチームが働きかけるようになるでしょう。

分析に本当に大事なのは、データの正確性や網羅性ではなく、変化をデータから読み解き、施策にトライすることです。
「仮説ははずれてナンボ」
私たち分析者は、難しい決断をするリーダーたちのそばにいて、しっかりとその役割を果たす時期にあります。

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスのマネージャなどを歴任。その他、SEO会社起業や日本の事業会社のデジタルマーケティングに従事してきた。
2019年からはJellyfishにVP Analyticsとして参画。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてウエブ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
また、仕事の傍ら、幕末 徳川慶喜についての小説も執筆出版している。
『ケイキ君と一緒!: 幕末 最後の将軍 徳川慶喜「もしも」の物語』
幕末沼 徳川慶喜よくある質問

主な講演

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