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少し前のことです。
「ヒロミ・イブクロにGoogle アナリティクスはまだまだ書きたくなることがあるからって伝えてくれ」
Google アナリティクスの関係者から概略そんなことを言われました。
前a2i副代表のでもある衣袋宏美さんがWeb担当者Forumで10年間続けたGoogle アナリティクスの連載をやめてしまったことを気にして、そう言っているようでした。
まだまだ製品が進化するから、これからもたくさん書きたくなることが起こるということなのでしょう。

振り返ってみると今年のGoogle アナリティクスの進化は例年に比べて少なめで、小粒感があります。目立ったものはクロスデバイス レポートと有料版の360用の新しいUI「アドバンス分析」ぐらいでしょうか?
製品も枯れて十分成熟してきたので、新しいことを実現しにくくなった。つまり成長カーブが衰えてきたと、凡庸な製品ならそう考えるのが妥当かもしれません。
でもGoogleですから、むしろその逆で、大きなジャンプの前に低くかがむ姿勢をとっているのかもしれません。

一方で課題もあります。
一つはセッション中心からユーザー中心への移行です。Google アナリティクスは今セッション中心のレポートから「ユーザー」単位のデータへの移行を進めています。
その中でレポート上には、不格好な数値の不一致が目立ちはじめています。例えばレポートによって「新規ユーザー」の値が違うといった現象はフォーラムなどでも話題になっています。
Google アナリティクスが、古いアーキテクチャを乗り越えて進化していくとき、こういった歪みをどこまできれいにできるのか?
無理に増築を重ねて、使う側に混乱が生じないよう祈っています。

もう一つは、クロスデバイスレポートです。
最近リリースされたこのレポートは、Googleアカウントのログイン情報を利用しています。Google 広告の設定でパーソナライズを許可したユーザーのデータが元になっています。
高品質のクロスデバイスレポートが出せるプレイヤーは、この世界にGoogleやFacebookなど限られています。その意味で期待は高いのです。
しかし、私が見た限り、レポート上で確認できるデバイスのクロスした割合は数%と、予想以上に低いように思えてなりません。これは実世界を正確に反映したデータなのでしょうか? それとも今時点では、データが十分に集まっていないため精度が低い状況なのでしょうか? もしかしたらGoogleといえども対象となるユーザーのサンプル数が、十分にない状況なのか?
この点はきっとデータが集まれば、解決されていくことでしょう。長い目で見守っていきたいと思います。

最後はGoogle アナリティクス利用者のネイティブUI離れです。
特に有料版のGoogle アナリティクス 360では、BigQueryにローデータがエクスポートできますから、CRMなどとのデータ統合が活発になってきています。データ統合が増えてくると、ネイティブのUIを使わずに、TableauなどBIツールを使う分析が増えてくるでしょう。無料版でもAPIやデータスタジオなどダッシュボードにつなげてデータを見る方が増えている印象です。最近開いたa2iのセミナーでもそういった事例が多く紹介されています。
「アドバンス分析」という野心的なUIがリリースされましたが、果たしてその魅力はどの程度なのでしょう?

いずれにしろ、まだまだその進化を楽しみにしていたいと思います。

そういえば、衣袋さんには、言われたことをまだ伝えていませんでした。このコラムを読んでくれているでしょうか?

コラム担当スタッフ

大内 範行

アナリティクスアソシエーション
代表
オオウチコム

アナリティクスアソシエーション代表
主な会社経歴は、日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Google、コニカミノルタジャパン。
Googleでは、2011年から7年間、Googleアナリティクスの技術サービス・マネージャとしてアナリティクスの普及をリードした。コニカミノルタジャパンでは、デジタルマーケティング戦略部の部長として、事業会社のデジタルマーケティング戦略を支援しつつ、ソリューション戦略をリードする役目を担っている。
その他、2000年には自らSEO企業を創業、また数々のSEOやアナリティクスの書籍も執筆してきた。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM検索連動型キーワード広告 Web担当者が身につけておくべき新100の法則』。
2008年に代表として協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」を設立し、現在に至るまで10年以上、その企画運営を行っている。2015年6月に協議会アナリティクスアソシエーションから『新しいアナリティクスの教科書』(インプレス)を出版

主な講演

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