a2iコラム
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2024年10月2日号より
巨人がリーグ優勝を果たしました。巨人は今年から阿部慎之助が原監督に代わって20代目の監督になりました。監督の最初のシーズンで、阿部慎之助監督がなぜ優勝できたのか、という記事をいくつか読みました。
阿部監督は、投手を中心とするチームの守備力の改善に注力したようです。昨シーズンのジャイアンツの防御率がリーグ5位の3.39、特に救援陣は12球団ワーストの3.81だったので、投手力の改善は急務だったようです。目標のひとつに「四球1割減」を掲げたようです。
これは有名なマネーボールの逆だな、と思いました。
映画では、ブラッド・ピットが主演していましたが、特にマネーボールを象徴するのは、出塁率という指標でした。
打率ではなく、四球やデッドボールも含めた塁に出る確率を重視し、他球団が獲得しない太り気味だが選球眼のよい選手を起用します。
マネーボールは、低予算のチームが、長いシーズンを効率よく勝っていくため、苦肉の策で他球団が注目しないKPIを追求したデータドリブン戦術でした。
打率より出塁率の高い選手、打点やホームラン数より塁を進める盗塁数が多い選手を重視しました。
さて、日本野球の阿部慎之助監督は、四球1割減を実現するため、どんな改善策を打ったのか?
科学的なものも含め様々な改革に取り組んだようですが、印象的だったのは投手にかけた言葉です。
「迷ったらど真ん中に投げろ」
実はアメリカのマネーボールの方は、その後いろいろな角度から評価されています。獲得した選手たちがその後どうなったのか? そんな分析も出されています。
マネーボールで、特にもてはやされた選手がジェレミー・ブラウンでした。
他のスカウトが「太って使い物にならない」と否定したのに、選球眼の良さからマネーボールを象徴する選手となりました。
ただ、そのジェレミー・ブラウンは、その後あまり思ったような活躍はせず、他チーム移籍後は、マネーボールのイメージに苦しみ続けたようです。
「迷ったらど真ん中に投げろ」
この言葉を見ると、マネーボールと巨人の阿部慎之助監督の違いは、改善策を選手にどう伝え浸透させるか、という点にあったように思えます。
監督がデータの改善を掲げると、データが悪くなると、投手とキャッチャーが萎縮してしまうことも考えられます。ボールが先行すると、思わずベンチのサインに頼ってしまい、選手たちが本来の力を発揮できない、ということもあるでしょう。
阿部慎之助監督は、選手時代、若手の正キャッチャーとしてメディアやファンに叩かれたこともあるようです。
投手が悪いのは、キャッチャーのせい、というわけです。そのせいで、メンタル面での苦しみも抱えたのでしょう。
監督として、選手たちがいかに自信を持ってプレーできるかという点を重視して、言葉がけを行ったのではないか、と考えました。
データドリブンで改善に取り組んでも、それを実行するのは感情を持った選手たちです。
接戦を演じたシーズン終盤で、いかに勝負強さを発揮できるか?
そうしたチーム全体の心理面が、実はデータ野球の本当に大事な部分なのかもしれません。
さて、マネーボールを実践したオークランド・アスレチックスは、プレーオフに何度か進出しています。しかし、短期決戦にはセイバーメトリクスと呼ばれるデータドリブン野球が通じず、ワールドシリーズには出場できませんでした。
阿部慎之助監督のジャイアンツが、日本シリーズに向けてどんな戦い方をするのか?
その点に注目していきたいと思います。
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
今からでもご参加いただけます!
ファイナルシーズンでは、2027年7月までセミナーを開催します。過去のアーカイブ動画もご視聴いただけます。ぜひご参加ください。
2026/10/14(水)
オンラインセミナー「ChatGPT広告の現在地とこれから」|2026/10/14(水)
2026年6月の日本ローンチ以来、急速に利用が広がっているChatGPT広告。機能のアップデートも速く、広告運用者は試行錯誤の真っ最中です。 …
2026/09/15(火)
セミナー「生成AIのデータ分析 現場のリアルとこれから」 【a2i DEEP Connection】|2026/9/15(火)
【開催中止のお知らせとお詫び】当セミナーは、主催者側の事情により、開催を中止することとなりました。 お申込みいただいた皆様、ならびに参加をご …
2026/08/25(火)
オンラインセミナー「ノンデザイナー&ノンプログラマー向け 生成AI×クリエイティブ実践」|2026/8/25(火)
生成AIを活用すれば、ノンデザイナー・ノンプログラマーのマーケターでも、初期案づくりや突発的な制作をスピーディに進められます。 本セミナーで …
【コラム】a2iの18年は「Progress not perfection」、そしてAI時代へ
アナリティクスアソシエーション 大内 範行2009年に始まったアナリティクスアソシエーション(a2i)は、2027年10月に活動を閉じます。残りはおよそ1年。この最後の期間を、私たち …
【a2i DEEP INSIGHT】AIが「答え」を出す時代、アナリストは何を見極めるのか(9月度ニュース深掘り)
発信元:メールマガジン2026年10月7日号より毎月a2iメンバーがピックアップした記事の中から、マーケターやアナリストが「DEEPな視点」で再考すべきトピックを厳選してご紹介します。 2 …
【コラム】GA4の画面を見なくなった。ではどう進化すべきか?と考えはじめたら
アナリティクスアソシエーション 大内 範行最近、Google アナリティクス(GA4)の管理画面や探索レポートのUIを、ほとんど開かなくなりました。私自身の率直な実感ですし、周囲のア …