コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2020年1月8日号より
年末の紅白歌合戦でYouTubeの億単位の再生回数がテロップで表示されていました。テレビとネットの逆転を象徴する場面なのかな、とみかんを食べながら思った次第です。
2020年はインターネット広告がテレビ広告を上回る時代を迎えます。2024年ぐらいには4マス媒体の広告費の合計をインターネット広告費用が上回るとも予想されています。
現状でもその内訳を見ると70%以上がモバイル広告(2019年予測で74%)となり、中でもディスプレイと動画広告の占める割合が大きくなると予測されています。
2020年代は各社がインターネット広告費用にこれまで以上に資金を投じていくことになり、リスティングよりもモバイル上のディスプレイや動画に比重が移っていきます。
SEOに目を移すと、検索してみればわかるように、モバイル検索結果の画面は、従来のオーガニックな結果がかなり下、もしくは2ページ目以降に追いやられています。
例えば「福島 旅館」と検索してみても、福島の旅館単独が表示されることはほぼありません。広告、マップ表示、トラベルサイト、まとめサイトばかりが出て、単独の旅館がSEOなどオーガニックな取り組みで対抗することが難しい時代に入っています。
インターネット広告にしろ、SEOにしろ、クリックはじめ私たちの広告に対する反応のシグナルがその表示アルゴリズムの源泉になっています。パフォーマンス評価もユーザー行動をKPIとして評価していきます。
ましてモバイル中心で機械学習に依存したアルゴリズムが支配的になるので、2020年代はユーザー行動が出すシグナルに、皆がこぞって資金を投じて、ユーザーの反応に支配される時代になっていきます。
きれいな言葉で言えば、マスの認知度ではなく、絞り込んだターゲットユーザーに焦点を当て、その反応をKPIにしてパフォーマンスを評価していきます。
モバイルユーザーのセッションは断片化していますので、カスタマージャーニーを通して、その間接効果と直接効果を合わせて費用対効果をみていく分析が重要です。
1) 広告投資についてはプラットフォーマーのデータを有効に活用し間接評価も含めて投資に活かして行くこと
2) ユーザー分析については、アクセス解析だけでなく、ブランド想起の調査とユーザーテストや満足度の調査を重ねて行くこと
3) ユーザーの反応を喚起するため一方通行ではないコミュニケーション力を身に着けて行くこと
しかし、これをダークサイドの目で見れば、もう少し違う世界が見えてきます。
ユーザー中心といえば聞こえが良いですが、ユーザーの反応がすべてを決める世界ですから、テレビコマーシャルのつもりで漫然とマスを対象に小ぎれいなクリエイティブに資金を投じても、それに見合う効果は出せないでしょう。
コンテンツがキングと言っていたSEOも、一方通行のコンテンツ作りではダメで、ユーザーとコミュニケーションする提供方法、ソーシャルも含めた取り組みがより重要になっていきます。
行き着くところは、ユーザー行動にあからさまに媚びるような世界に、予想しないほど大きな資金が投じられる世界が待っているのかもしれません。
その縮図は今年行われる大統領選挙で繰り広げられることになるでしょう。
そう何もこのトレンドは今年からはじまった話ではありません。オバマの大統領選挙でのA/Bテストの取り組みや、トランプ大統領の1期目の選挙でまきおこったフェイクニュースの嵐も同じです。今後、これがもっと多くの広告資金を投じて先鋭化していくことになるのでしょうか?
何かが間違っていると思えても、ユーザーが安易に反応することに投資していくことで、短期的な成果を積み重ねていく。それが、ビジネス、政治の成功を左右しそうです。
2020年代、私たちのアナリティクスがどの方向に進んでいくのか?
今年秋の大統領選挙で、インターネットで何が行われて、デジタル広告にどれだけの資金が投じられていくのか、そこに注目してみたいと考えています。
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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