コラムバックナンバー
アナリティクスアソシエーション 大内 範行
発信元:メールマガジン2019年1月9日号より
新年あけましておめでとうございます。2019年最初のコラムです。
モバイルやウェブの行動データをビジネスに活かすには、データの取得分析から施策とその検証までのサイクルを、現場が率先してデータを見ながら回していくことが大事です。
アナリティクスアソシエーションのセミナーではできるだけ事例をもとにその取り組みを紹介してきました。今年も引き続き取り組んでいきます。
しかし、いざ企業の現場に入ってみると「行動データをまったく見ていない」という不都合な現実を目の当たりにします。「一時、見ていたし、教育なども行ったのだが、効果につながらないので見なくなった」というのが現実です。
この不都合な現実から目をそらしていてはいけません。では、そうした現場がデータを活用するためのいい策はあるでしょうか?
全体を俯瞰してみましょう。
1つ目の策として、分析のアウトソーシングという手があります。
しかし、外部の人材にできることには自ずと限界がありますし、根本的に人は他人に指図されたことでは動きません。やはり現場が自分たちから成功を積み重ねないと、活用されないレポートやダッシュボードが積み重なっていきます。そもそも、その企業の社員のように業務を理解し、ビジネス改善に取り組んでくれる人材は非常に少ないです。
2つ目は、分析を自動化するという手があります。AI・機械学習も気軽に使えるようになり、実際広告に関してはかなり進んできています。広告で自動化が進んだのは、入札という施策まで自動化されていることが大きく、一定量のデータが必要というハードルもあります。広告以外のアプリやサイトの改善にデータを活用するために、分析と改善ポイント抽出の自動化が進んで行くでしょう。ただ、先程のアウトソーシングと同じで、ソフトに指図をされて「その改善策を信じて施策に取り組む」ことができるのか?結局は分析する担当者が少し楽になる程度に留まってしまうのか? このエリアは注目したいと考えています。
3つ目は、行動データという定量データに、広い意味での定性データを組み合わせる、という手段がありそうです。無機質なデータを、人肌のある言葉や人の姿と組み合わせれば、現場が前のめりになる可能性は大いにありそうです。
人の姿に近づけるという意味では、ユーザーテストやエスノグラフィといった本当に一人ひとりの日常の活動を見るという取り組みがあります。最近分析の現場でホットになってきた「個」の動きを見るツールなどもそうでしょう。
もう一つは「言葉」と組み合わせる方法です。もともと行動データには検索キーワードが見えていましたね。SEOのデータ分析は、言葉から想像できる世界も広く、比較的誰でも取り組みやすかった面があります。
「言葉」という点で、アンケートなどの調査データもあります。
アンケート調査と行動データを組み合わせて見ていく取り組みは、人の姿が想像しやすい点で現場がのめり込みやすい手段となりそうです。
ただ、実際には「調査」はそれほど簡単ではありません。アンケートにまじめに答える人は少ないでしょうし、人の意見は実際の行動と食い違うという問題もあります。ノイズも相当量ありますし、ノイズを除去する質問のテクニックやデータクレンジングのノウハウも専門性が高い分野です。
このコラムでは筆者の力不足で「次はこれだ!」という答えまでは行き着きません。
Googleアナリティクスなどの行動データにはモバイルシフトと個人情報保護の動きから、量や正確さに不安が出てきています。これを乗り越えて、現場がデータ活用からビジネス改善まで進める次の手が何なのか? ここから数年の大きな課題だと思いながら新年を迎えました。
アナリティクスアソシエーション代表
個人情報保護士、専門統計調査士
日本アイ・ビー・エム、マイクロソフト、Googleなどを経験。Googleでは2011年から7年間、Googleアナリティクスとダブルクリック広告のマネージャなどを歴任。
2019年からはJellyfish 副社長 VP Analyticsとして参画し、2021年からはアユダンテ株式会社でCSOに就任。
並行して2008年から協議会「アナリティクスアソシエーション (a2i.jp)」代表としてデジタルマーケティングのデータ分析の普及に取り組んでいる。
仕事の傍SEOやアナリティクスの書籍も多数執筆。
主な著書『できる100ワザ SEO&SEM』、『できる100ワザ Google Analytics』、『SEM Web担当者が身につけておくべき新100の法則』など。
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