コラムバックナンバー
株式会社クロス・フュージョン 衣袋 宏美
メールマガジン2018年2月28日号より 衣袋 宏美
2018年3月でアナリティクス アソシエーション(a2i)を卒業します。前身となるアクセス解析イニシアチブは2009年4月に発足ですから、a2iでの活動は丸9年です。少なくとも月例セミナーの企画の殆どを担当しましたので、a2iでの活動にかなりの時間を割いてきましたが、人生も折り返して残り少ない時間を自分のために多く割きたいという理由で、卒業させて頂くことにしました。さて、a2iの私のメルマガコラムは、最近ほとんどが自分が企画担当している月例セミナーの案内でした。2017年もまともなコラムとしては年初の1回しか書いておりません。まともなコラムを書かない理由としては、もう言い尽くした感があるからです。私が言いたいことは、ツイッターやブログなどの自分のメディアやWeb担当者Forumなどでも10年くらいの長きにわたって散々書いてきましたので、同じことの繰返しになってしまいます。
私としては今回が最後になるので、a2iでの9年を簡単に振り返ってみたいと思います。
前身となるアクセス解析イニシアチブ設立は2009年で、その頃と言えばGoogleが2005年にUrchinを買収してGoogle アナリティクスが普及してきて、私も2007年からデジタルハリウッド大学院でアクセス解析の講座を始めた時期でした。
アクセス解析の黎明期を担っていた第一世代の石井研二さん(『アクセスログ解析の教科書』の筆者で日本一のログ読み男)の時代を経て、2009年頃はアクセス解析の1.5世代くらいの人達の活動も多く知られるようになってきました。そんな環境下で、a2iは比較的早く多くの方々の賛同を得て設立されたように思います。そういう人達が集まってワイワイする場が丁度求められていたのでしょう。
活動を少し振り返ってみます。ベースの活動としては、毎年春に行うサミット、年何回か行う交流会(飲み会)、月例開催のセミナーがあります。
その他としては、大内さんを中心に2011年頃まで、実際のサイトのデータを皆でみて、サイトの改善を提案するワークショップが行われました。皆にデータを公開してもいいよというサイトを探すのは難しかったし、準備も大変だったと記憶しています。ただ、実際のデータをもとに、数人でグループになって議論して改善提案をまとめると分析する視点が広がり、非常に勉強になりました。今でも十分使える方法ではないかと思います。
一方私は様々な分科会活動を2012年まで行っていました。分科会活動は会員有志が集まって、特定のテーマについて議論や勉強をするグループの活動です。しっかりやったと言えるものとしては、標準化分科会、ツール分科会、アトリビューション分科会の3つでしょうか。
標準化分科会は、アクセス解析の集計と用語定義ガイドラインを作るという目的で発足させました。今でもそうですが、アクセス解析で使う言葉は独特で分かりにくいので、共通言語で話すために必要だと考え、真っ先に取り組みました。そして2009年に第一版、2010年に第二版をリリースし、目的は達成できました。
アクセス解析の集計と用語定義ガイドライン発表
アクセス解析の集計と用語定義ガイドライン第2版を発表
ツール分科会はベンダーの協力を得たりしながら様ざまなツールを触ってみるという取組みで、5ツールで計10回くらい実施しました。ツール毎に説明をしてもらうのが1回、使わせてもらってベンダーにフィードバックをするのが1回なので、ツール毎に2回開催したということです。今やツールの種類は多すぎて難しいと思いますが、やはり著名なツールは使ってみたいということでの試みでした。
アトリビューション分科会では広告効果の貢献度分析のアトリビューションをテーマにし、少人数でのセミナーを2011年の後半に10回ほど集中開催しました。間接効果をどう集計して判断するのかは様ざまな方法があるので、その辺りを私自身がいろんな人から話を聞きたかったのです。せっかくなので小セミナーの形で集中開催しました。
【活動報告】アトリビューション分科会
2013年以降はベースの活動であるサミット、交流会、月例セミナーの活動が中心になっていきました。個人的には2013年以降、Google アナリティクスの講座やGoogle タグマネージャの講座、セグメントの講座などの自主講座を続々開発していくための時間に追われ、a2iの新規の分科会活動に時間を割けなくなってという事情もあります。最近ホットなテーマに機械学習などがありますが、アトリビューションと同様な分科会活動が出来ればよかったという思いもあります。
今までもそうですが、アナリティクス周りもIT業界と同じようにこれからも様ざまな流行語が浮かんでは消えていくと思います。技術もツールもどんどん変わっていくし、ある程度そこを追いかける必要はあると思うのですが、振り回されずに目利きできるようになって欲しいと思います。私が企画担当したセミナーでは、新しいテーマでも、単に成功事例を紹介して新しいことを無条件に導入することを薦めるような内容ではなく、よく陥る落とし穴などにも言及するように講師の方にもお願いしてきました。
私が退いた後のa2iの2018年度の月例セミナーは、大勢の人がセミナー企画に関わると聞いています。今以上に多くの人の知恵をお借りしながら、時代の潮流を見据えながら皆さんのニーズに応えられるような情報提供やセミナーやイベントを企画/実施してくれるものと期待しております。これからのa2iにも引き続きご期待下さい。
そして私個人としては、a2iのセミナーで講師をして頂いた多くの方々や協力スタッフのお蔭でこの9年をともに盛り上げ助けて頂いたことを感謝しております。ありがとうございました。
a2iから離れた後は、Google アナリティクスを中心とした情報発信や講座の開発と実施を中心に時間を掛けていく積りです。一般的なセミナーへ登壇するような表舞台からは姿を消すと思いますが、有料の自主講座での登壇は続けますし、自分のメディアでは今まで通り発言を続けていくと思います。発言している限りは、元気なはずです。
日経BP社調査部、インターネット視聴率センター長などを経、その後ネットレイティングスでインターネット視聴率サービスの立上げから参画、アクセス解析ベンダーの買収を機に軸足をアクセス解析にシフト。2006年に独立、2009年にはアナリティクス アソシエーションの立上げに参画、アクセス解析の分析サービスを提供しながら、記事執筆、出版、ブログ、セミナー、教育トレーニングなどを行っている。
アナリティクス アソシエーション副代表、アユダンテ株式会社の社外フェローなどでもある。
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