a2iコラム
株式会社Rejoui 菅 由紀子
発信元:メールマガジン2019年11月27日号より
前回のコラムにおいては、データサイエンティスト協会より発表された「データサイエンティスト スキルチェックリスト ver.3」についてご紹介いたしました。
【コラム】2019年版 データサイエンティスト スキルチェックリスト更新に際して(2019年10月30日)
同日に、「データサイエンス領域タスクリスト」も2019年度版が発表されています。今回はこちらについてご紹介したいと思います。
「データサイエンス領域タスクリスト」はデータサイエンスのプロジェクトのプロセスにおいて、各スキルがいつどのように必要とされるかが整理されたものです。各スキルカテゴリに横断的な内容で、情報処理推進機構(IPA)がデータサイエンティスト協会と共同で2017年に作成・発表したものが今回刷新され、スキルチェックリストと同時に公開されています。
今回の刷新において、分析プロジェクトの初期段階におけるテーマ検討や業務設計の重要性を踏まえて「分析の企画」「アーキテクチャの設計」タスクが追加となりました。また、外部のベンダーへ分析工程の一部やプロジェクトを委託する際などに必要となる契約のタスクなどが追加されています。私自身も、分析プロジェクトを受注する側でもありますし、一部を外部にお願いする立場でもあり、この契約に関するタスクは見落としてはならないものであると感じています。具体的には「(分析プロジェクト契約)分析プロジェクトを外部に委託する場合は、生み出された成果物の知的財産の扱いを整理した上で、委託先と契約を結ぶ」と記載されています。分析・データ活用そしてAI導入のプロジェクトにおいては、近年特に知的財産についてセンシティブである必要があります。
また、昨今のPoC(Proof of Concecpt、実現可能性の検討をおこなうこと)に関するタスクの追加も行われました。複雑な機械学習モデルを用いた分析、システム構築のプロジェクトにはPoCは不可欠ですが、ゴールや実施条件、採用条件などPoCの実施時に不可欠なことが定められないままPoCばかりが続いていくという話もよく耳にします。データサイエンス領域のPoC完了時に発生するタスクを把握できておけば、そういった不幸を避けられるのではないかと思います。タスクリストは業界・ドメインの事例なども示してありますので、他領域ではどのようなプロセスを経るかも参考になることと思います。
私は自分自身が携わるデータサイエンスのプロジェクトにおいて、顧客や社内のステークホルダーにこのタスクリストを活用したプロジェクトのタスクを概念図にしてご提示しています。そうすることにより、相手方は「次は何が誰にタスクとして発生するのか」を把握しやすくなり、また現在位置も確認がしやすくなるためプロジェクトの進行が大変スムーズになります。
その他にも、スキルチェックリストの刷新内容とあわせて機械学習の技法に関するタスクは大幅に変更されました。タスクリストも2年前と比較すると大幅な改定が加えられており、特にデータサイエンティストが担う役割の広がりも同時に感じます。将来的には、データサイエンススキルとこれらのタスクを意識できるということがビジネスで活躍できる必須条件となってくるかもしれません。
株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。
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