コラムバックナンバー

若い人たちや新しい人たちがこれから「分析+改善」の取り組みに向き合うとき、どうやって経験を積んでいけば良いのだろうか。あるきっかけでこの数か月ほど考えています。

「何事も経験だ」とやみくもにやっても非効率ですし、「分析手法を一から順に」というのもスピード感がなく退屈です。組織や事業にも左右されそうで、教科書的な正解はないのでしょう。

その中で、わりとオーソドックスな進め方が汎用的に使えそうだと思えてきました。少し紹介してみます。

0)仮説を立てる/視点を定める
1)多くの事実を集める
2)意味のある情報に要約する
3)解釈する
4)判断する/促す

元になっている考え方の一つが「空・雨・傘」と呼ばれるものです。「空が曇っている(事実)、雨が降りそうだ(解釈)、傘を持っていこう(判断)」という問題解決と意志決定のシンプルな考え方です。

個人的には普段の分析の現場でわざわざ意識することもなく、「ほれほれ、フレームワークですよ(コンサルっぽく)」という感じにも見えるので距離を置いていたのですが、こういった経験を積んでいくトレーニングでは有効のように感じます。

すぐに解釈せず、まずは事実を集めること。できるだけ複数の視点で集めること。

事実を集めたら、それを整理、要約すること。

解釈はそのあとで。事実の要約とは区別し、あなたはどう解釈したのかを挙げること。

それらを踏まえて、ではどうすれば良いのかを判断する、提案するという流れです。この最後の課程は、組織であれば分析者ではなく別の人による提示でも良いですよね。

元になっているもう一つの考え方が「データとインフォメーションとインテリジェンスの違い」です。「データ」は収集された情報、「インフォメーション」はデータからピックアップした意味のある情報、「インテリジェンス」はインフォメーションからピックアップして対象者ごとに最適な解釈で提示する情報、というものです。

この「データとインフォメーションとインテリジェンスの違い」は、「空・雨・傘」とリンクしているように思うのです。あるときふと「空(事実)から雨(解釈)の課程には、データ→インフォメーション→インテリジェンスの流れを含んでいるよね?」と気付きました。

・まずは事実(データ)を集めなさい
・それを要約しなさい(インフォメーション)
・解釈して対象者に適切に伝えなさい(インテリジェンス)

コンサルティングや提案の場面では、「ではどうしたらよいのか」の「傘」の提示を最終的に求められます。解釈からさらに踏み込むことになり、分析とは異なるアプローチで幅広い知見と経験が必要です。この「傘」の部分のトレーニングは別途考える必要がありますが、事実の収集から解釈までの課程は上記のようにステップを分ければ学びやすそうです。どうでしょうか?

コラム担当スタッフ

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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