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2015年にデータサイエンティスト協会で定めたデータサイエンティストのスキルチェックリストが更新されました。
https://www.datascientist.or.jp/common/docs/PR_skillcheck_v3.00.pdf

前回の更新は2017年でしたが、今回も全面的に大幅な見直しが行われました。今回はデータサイエンティスト協会スキル定義委員として、この更新に携わり感じたことを述べてみたいと思います。

今回の更新ではスキル項目が457から528に増加しました。データサイエンティスト協会では、データサイエンティストに必要なスキルセットをビジネス領域/データサイエンス領域/データエンジニアリング領域の3つのカテゴリのバランスであると定めており、今回の各領域の主なアップデートは下記のとおりです。

■データサイエンス領域
今回はこの領域のスキルが最も劇的でした。特に機械学習技法に関するスキルは多くの追加・更新が行われ、領域としては近年の重要トピックであるアノテーションの精度管理、公平性リスクの理解などのスキルが反映されました。また、検定の領域では、これも近年話題となっていたp値の限界/p値以外のアプローチについて言及がされています。また、強化学習系のスキルや言語処理・画像処理についても近年の動向が反映されています。そして、こういった技法を支える基礎数学のスキルがいくつか追加されました。

■データエンジニアリング領域
この領域についても、分析環境構築やセキュリティ対応などの近年の技術が反映されたものとなりました。ちょうど昨日、公正取引委員会によるサイトでのCookie情報の取り扱い規制が話題となっていましたが、GDPR等のデータ管理ポリシー強化・改善に関するスキルや匿名化技術、個人情報削除についてのスキルも更新されています。また、環境構築面においては昨今のクラウドサービス利用に関するスキルが追加されました。

■ビジネス領域
こちらにおいてもコンプライアンスに関するスキルが刷新されています。性能保証に関するものなどはAI時代におけるビジネススキルとして、特にデータを取り扱う者としては忘れてはならないスキルです。その他にも、データから創出される価値を構想する力もスキルとして挙げられています。便利で高精度なパッケージやツールが増える昨今にあって、ステークホルダーの価値を保ちつつプロジェクトを遂行することは非常に難易度の高いスキルですが、ビジネスを遂行するうえでなおざりになりがちなスキルがこの領域には網羅されています。
前回のスキルチェックリスト更新時も、この領域の進化の速さに驚きを覚えましたが、今回はより劇的でした。2年前は高く設定していたスキルの多くが1つ下のレベルとなりました。また、機械学習の技法に関するスキル領域の広がりには目をみはるものがあり、また、そのなかの1つの手法にフォーカスしてみても大きく変化しているものもあります。この進化については今後もしばらく加速度的で、キャッチアップしていくのが非常にタフであると感じますが、一方で今回初めて追加となった「基礎数学」領域はデータサイエンス領域のどのようなスキル領域においても重要であるスキルが殆どで、ここを追加できたことは私自身とても価値のあることであったと思っています。

今後はこのリストが様々なシーンで(特に企業の採用シーンやプロジェクトのメンバー選定シーンなどで)活用いただけるよう尽力したいと考えています。また、今後は2年に1度ではなく常にリストが見直されるような環境も委員では討議をしています。そして、このリストの更新をキャッチアップできる基礎体力を磨いていくことこそ昨今のデータサイエンティストに求められる資質ではないかと思います。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等多数のプロジェクトを担当。
2016年9月にHR&Learning 分野専門の分析会社 Rejouiを設立。
アナリティクスアソシエーションプログラム委員、データサイエンティスト協会スキル委員。
株式会社Rejoui 代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールの非常勤講師としても活躍中。

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