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活動報告
2014年5月21日、ベルサール汐留にて「アナリティクスサミット2014」が開催されました。当協議会が「アナリティクス アソシエーション」へと名称変更となり、これまで毎年開催していた「アクセス解析サミット」も「アナリティクスサミット」となって初めての開催となりました。テーマは「アクセス解析からアナリティクスへ」、7時間にわたって合計10名の講演者にご登壇いただきました。
あいにくの雨の中でしたが、約300名の参加をいただき、ありがとうございました。このアナリティクスサミット2014の模様の後編です。後編は、ビービット三宅氏と日本ハム香川氏、ALBERT菅氏と日本旅行須藤氏、良品計画奥谷氏、デジタルインテリジェンス横山氏の各講演です(前編はこちら)。
アナリティクスサミット2014「アクセス解析からアナリティクスへ」
主催:アクセス解析イニシアチブ(アナリティクス アソシエーション)
協力:株式会社インプレスビジネスメディア、Web担当者Forum
日時:2014年5月21日(水) 10:30~17:30
場所:ベルサール汐留
株式会社ビービット 三宅史生氏
日本ハム株式会社 香川朱里氏
株式会社ビービット 渡辺春樹氏
ビービットの三宅氏からは、日本ハムの香川氏をゲストに、コーポレートサイトでの改善事例を紹介いただきました。
コーポレートサイトは、ECや販促などと違ってウェブの位置づけがむずかしく、社内理解や評価がされにくい傾向があります。重要なのは、ビジネスにおけるウェブの役割を定義し、その役割に寄与するゴールを設定することだと、三宅氏は説明します。具体的には、役割を達成するコンテンツの準備と、その役割達成に近い指標の定義だとし、日本ハムの事例を紹介しました。
日本ハムでは、なかなか認知されない領域の会社紹介コンテンツを準備、その有効性を測るため、伝えたいメッセージ箇所までのスクロール到達を「閲覧完了」として計測したり、理解を深めるゲームのクリア画面到達を計測したりなど、指標を工夫していることなどが紹介されました。
後半は、ビービットの渡辺氏を加えた3名でのトークセッションとなり、日本ハムでの社内理解の変化についても明かされました。ゴールをしっかり考えていなかった反省から、伝えたいことを一度しっかり考え、測り方を変えることで、社内理解が進んだとのこと。渡辺氏からも、伝えたいテーマは大きすぎると扱えなくなるので、テーマのサイズを少し落とすとよいというアドバイスもいただきました。
データはたくさんある一方でそれだけではビジネス課題は解決しない現実を踏まえ、課題をどう捉えどう分析し、社内を動かすかが、コーポレートサイトでも重要であると渡辺氏は述べ、セッションを締めくくりました。
株式会社ALBERT 菅由紀子氏
株式会社日本旅行 須藤光氏
ALBERTの菅氏からは、日本旅行の須藤氏をゲストに、Web CRMプラットフォーム構築の取り組み事例をご紹介いただきました。
日本旅行からは、データを一元管理した上で最適なメール配信を実現したい、継続的な施策のPDCAサイクルを実行し、顧客獲得を増やしたいというご要望があり、既存システムを一部活用する前提で構築を進めたとのこと。ウェブサイトで閲覧した渡航先国から顧客をクラスタリングし、レコメンデーションとパーソナライズを組み合わせたメール配信で、よりOnetoOneマーケティングに近い取り組みを行った事例を紹介いただきました。
須藤氏からも、過去の渡航先や予約時期といったさまざまな要素を組み合わせてのメールのアプローチが紹介され、シナリオ設計とデータ活用による施策を行っている様子が伝わったのではないでしょうか。
今後はこのデータ活用をより進めたいとし、広告DMPとの連携、店頭やコールセンターのデータ活用も行っていきたいと、抱負も語りました。
最後の質疑応答で、須藤氏が「ゴールを明確にし、意味のないものは止めて効果のあるものはより進めていくこと」に意識しているという言葉が印象的でした。
株式会社良品計画 奥谷孝司氏
良品計画の奥谷氏からは、無印良品のMUJI passportをキーとしたデジタルマーケティングへの取り組みをお話しいただきました。
無印良品では、お客様が商品を検討から購入してその後に利用するまでを「顧客時間」とし、その一連のプロセスを掌握することがお客様の理解を進めることだと説明。お客様の周りにあらゆるコミュニケーションチャネルを配置してその状況を可視化し、そのキーとなり始めているのがMUJI Passportだとします。
ネットとリアルの区別なく無印良品のファンとのコミュニケーションが図れ、一方でそこからさまざまなコミュニケーションが可視化できるようになったとのこと。お客様の行動範囲や入店から購買までの時間といったリアルな消費者像の例を紹介し、またそれらとウェブの行動や属性情報を組み合わせて、今後のさらなる最適なコミュニケーションに活用したいという展望も語りました。「Engagement Commerce」という言葉を挙げながら、オムニチャネルの時代はこのエンゲージメントの可視化が必要であるとし、それらを取り扱えるデータサイエンティストが必要であると訴えます。
大切なのは従来とは異なる新しい経営数値から逃げずにデータに向き合うこと、ビッグデータは仮説を立ててスモールデータに変換しなくては読み解けない、など、後半は今後のさらなるデータ活用の重要性を熱く語りました。
株式会社デジタルインテリジェンス 横山隆治氏
午後の最後を締めくくる基調講演は、デジタルインテリジェンスの横山氏から、マーケティングデータの一元化の必要性と今後の組織のあり方についてお話しいただきました。
冒頭でDMPの成り立ちの背景から概念と現状までを説明した上で、考えられる活用方法を提示。各社がまだ自社の保有データのみで分析を行っているという課題を挙げ、DMP活用から成果がそろそろ求められる時期ではないかと指摘、コミュニケーション戦略への活用を求めます。長い目で見れば顧客の洞察への活用が必要だろうとも語ります。
後半では、データドリブンな組織作りで日本企業が抱える問題を指摘。欧米と比べて社内にマーケターがいない、経営者がマーケティングを科学と捉えていない、データサイエンティストはいても会社を動かすジャック・バウアーのような存在がいない、など、自身が多く目にしてきた日本企業の課題を挙げます。その上で、企業のビジネスを熟知したマーケターがデータ分析に関わらなければならない、そのような人材を育成し、組織に取り込んでいかなければならない、と説き、グローバルなマーケットからの脱落の可能性を警告します。
企業のトップに対して、データ活用への意識変革を強く求める熱い思いが伝わる基調講演でした。
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