コラムバックナンバー

2022年が始まり既に1月も半分が経過しました。

データを扱う領域において私が注目している2022年のトピックは、今年の4月から高等学校において「情報II」が新設され、データサイエンス・機械学習などの統計教育がはじまるということです。予定されていること自体は昨年のコラムでも触れさせていただきましたが、年度が変わるといよいよスタート、どのような若者が育って行くのか今からとても楽しみです。高等学校におけるデータサイエンス教育については下記のコラムをご参照ください。

高等学校における機械学習・データサイエンス教育を考える

大学教育においては高等学校に先んじてリテラシー教育がスタートしています。
しかし、指導する側の人材は圧倒的に足りていません。

大学の7割、データ授業必修 応用力と指導者不足が課題

指導者不足には下記のような理由が考えられます。

– データサイエンティストなどデータに関する専門家がそもそも少ない
– 進化が早い領域であるがゆえに技術がすぐに陳腐化する
– 指導者に渡る報酬が十分ではない

データサイエンティストなどデータに関する専門家がそもそも少ない
データサイエンティストのなり手が少ないのですから、現在活躍しているデータサイエンティストはあらゆるところで引っ張りだこです。AIの民主化や浸透、様々な産業におけるデジタル技術の活用なども相まって”AIの活用に備えるためのデータ取得” の場面でも、その設計をデータサイエンティストが担うケースが増えてきました。データの加工や集計、AIのアルゴリズムなどの後工程が理解できていなければ、取得の粒度を設計することができないためです。裾野の人数を増やさない限りは、指導に回る人もなかなか増えてはいかないでしょう。裾野の人数が増えるには、今もう少しの時間がかかります。高校や大学での教育がスタートしたことは、長い目で見ればこの解決につながることと信じたいところです。

進化が早い領域であるがゆえに技術がすぐに陳腐化する
アルゴリズムもデータを取り扱うプログラミング技術も目覚ましい進化を遂げています。また、かつては扱うデータ容量が増え、アルゴリズム・モデルが複雑化すると計算機の処理能力が追いつかないということもありましたが、量子コンピューターの技術が普及しはじめました。進化はどんどん加速度的になっており、ムービング・ターゲットを常に追いかける姿勢でいなければなりません。指導する側も、指導する内容をアップデートしていくことを心がけねばなりませんので、それを継続することは大きな障壁があります。とはいえ、論理思考や基本的なプログラミング、データを見て解釈すること、思考することの本質に変わりはありません。高校や大学での指導でそれらの基本が指導されると望ましいと私は考えています。

指導者に渡る報酬が十分ではない
民間企業での育成などでは非常に高額な受講料を取るものもよく見かけますが、教育機関においては十分ではありません。これは、もとより大学教員の報酬が上昇していないことや日本の国全体の賃金上昇がなされていないことなどにも影響を受けています。データサイエンティストに限ったことではないかもしれませんが、専門家が教育現場などで指導する際の報酬がその方の専門性や技術に見合わないということもよく見かけます。

これらの課題が解決される1つの取り組みとして、高等学校における教育のスタートは大きな期待を寄せています。しかし、高校の先生方にとってデータサイエンスは専門ではありませんので、現役のデータサイエンティストや高等教育に思いのある方々と、この取組を支えていく仕組みを作りたいと考えています。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

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