コラムバックナンバー
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2018年5月9日号より
はじめまして。Option代表の柳井隆道と申します。フリーランス(一人会社)で事業会社、広告代理店などにデジタルマーケティング、「テクノロジーやデータの力を使ってマーケティング活動を強化するお手伝い」をしています。
データ計測の設計、実装から分析、時にはマーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱っています。
このメールマガジンではそんな境遇の中で感じたこと、皆様の役に立つことを中心に紹介していければと考えております。
ここはアナリティクスアソシエーションということで、アクセス解析やデータ分析に携わる方が多いと思いますが、今回はアナリティクスの先にあるマーケティング活動を意識した分析のアウトプットについて少し語らせていただきます。
(1)役に立つ分析アウトプット
施策担当者が最もありがたいと感じるのは、具体的に何をすべきという結論が明らかな分析結果です。しかし正しくそのようなアウトプットがきれいに出ることは多くはありません。
ではどのようなアウトプットが役に立つのでしょうか。それが施策担当者の意思決定や施策の精度向上に役立つ情報です。
施策の精度向上に役立つ情報というのは、具体的にいうと施策にインプットする変数ということになります。
たとえば「このようなセグメントに対して何らかのアクションを行ったら効果的かもしれない」などということ。具体的に何をすべきか明示しないまでも、施策の精度を高めるには役に立ちます。
自分自身がアクションを実行するのではなかったとしても、
「この施策を行うためにはどんなインプットが必要か」
それを意識することが必要です。そうすると自ずとアウトプットの内容が見えてきます。
そういう意味で、施策自体の実施経験者が分析を行う強みがあるわけです。
またこのあたりで特に最近思うのは運用型広告の分析の意味です。最近ではGoogleやFacebookといった広告配信プラットフォーム自体のAIを使った最適化が行われていることが多いです。
その場合、どんなにこちらが分析をして「○○すべき」と言ったところで、それを広告施策にインプットする術がない。さらにはすでにAIがそれをより高い精度で実行しているかもしれないのです。
施策へのインプットが減った分、広告の分析自体の必要性が以前に比べて減少しているのではないかとも思います。
(2)何のためのデータ、分析結果なのか
マーケティングに限らず、何らかのアクションを進める際のデータの位置付けです。これらを意識しておくと受け手にとって納得感のあるアウトプットになります。
主張の裏付け
ある程度経験のある人であればデータを見なくても何をすべきか、どこに着手すべきかわかることも多いです。ただ情報の受け手によっては、頭ごなしにそんなことを言われても納得できません。
データから何らかの知見を導くのではなく、説得材料としてのデータの位置付けです。データがなくても正しいアクションができればビジネスとしては成功ではあるのですが、組織がある程度大きくなると、皆を納得させてアクションに移すためにデータの力が必要になるというわけです。
施策の選択肢を絞る
何をすべきかは決められないが、逆にこれをやるとNG。たとえば「この期間はダイレクトメールを送らないほうがいい」などというのは見えてくることがあります。それを施策の選択肢から除外し、施策全体の成功する確率を高めるのです。
優先順位を決める
ユーザ数やCVRなどのデータからセグメントごとの成果インパクトの大きさをある程度推測することは可能です。単純にボリュームやCVRを出すだけでなく、施策のための優先順位にまで落とし込むことで、施策のインプットになるわけです。
具体的に何をすべきか(施策自体の内容)を決める
「3回目の訪問者にはこのお知らせコンテンツを見せる」など、データから施策の内容を決めるのです。さらには自動で施策自体を実施するところまでやってしまうのが理想です。
「3回目の訪問者にはこのお知らせコンテンツを見せる」であれば、それを自動でCMSで実行してしまう。デジタルマーケティングの究極形はここだと私は考えています。真のマーケティングオートメーションです。今でもレコメンドエンジンや広告配信においてデータはこのような位置づけで活用されています。ブラックボックスであっても、施策の精度が高ければいいので、AIの活用のしどころではあります。
情報の受け手に役立つアナリティクスのあり方ということで、私が常に意識しているところを語らせていただきました。皆様の何らかのヒントになれば幸いです。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
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