コラムバックナンバー
発信元:メールマガジン2026年6月3日号より
毎月a2iメンバーがピックアップした記事の中から、マーケターやアナリストが「DEEPな視点」で再考すべきトピックを厳選してご紹介します。
2026年5月は、Google I/Oはじめ、重要なカンファレンスが目白押しでしたが、埋もれがちだけど重要なニュースも多かったです。
Google Marketing Live 2026で発表された、Google タグマネージャー(GTM)の歴史上最も劇的なアップデートについて、海外の第一人者Simo Ahava氏による深掘り解説です。
◆詳細記事
Big change(s) coming to Google Tag Manager (web)(LinkedIn / Simo Ahava)
Google タグマネージャー公式ヘルプ:Google タグへのアップグレード
◆DEEPなチェックポイント
5月上旬に海外のGTMエキスパートSimo Ahava氏が「GTMに劇的な変化が来る」とコミュニティに予告しましたが、下旬にGoogleから公式ドキュメントが公開され、その全貌が確定しました。
要点は、既存のレガシーGoogle Tagをコンテナの「Destinations」へ移行できること。これにより配信先ごとにgtag.jsを個別ロードする必要がなくなり、帯域とブラウザ資源を節約できます。あわせてGoogleタグの設定がコンテナに中央集約され(個別の上書きも可能)、Google系タグ全体の設定が一貫します。プレビュー・ワークスペースでのテスト・ロールバックが用意され、自動では何も変わらない設計です。地味ですが、GA4/広告/Floodlightの設定統治とパフォーマンスに効く“足回り“の再設計で、アップグレード判断を今から考えておく価値があります。
「美しいダッシュボードを作ったが、ビジネスは動いたか?」という、全データアナリストに刺さる問い。今年のTableau Conferenceが示した、データ活用の次の20年の正体に迫る秀逸な考察です。
◆詳細記事
ダッシュボードの終焉と「意思決定の自動化」へ:Tableau Conferenceが示したデータ活用、次なる20年の正体(note / T.Ikeda)
◆DEEPなチェックポイント
長年、私たちは「データを可視化して人間が理解する」ことをゴールにしてきました。しかしその結果、アクションに繋がらないデータが眠る「データの墓場」が乱立することに。
打ち出されたのは分析を「見る」で終わらせず意思決定の実行まで支援する「Agentic Analytics(エージェント型分析)」という世界観。
論点は2つあります。ひとつはアナリストの役割再定義で、データ/意思決定/エージェントの3つの「Architect(設計者)」として動こうという方向性。
もうひとつは、AI礼賛で終わっていない点。AIは分析を加速できるが「この数字は本当に正しいのか」に責任を持つことはできない、キーノートでは89%のリーダーが不正確・誤解を招くAI出力を経験したというデータも示されたとあります。指標定義や業務文脈をAIが理解しきれないことが背景で、KPI定義の統一や結合ロジックの担保といった“見えない努力“の価値が、むしろ上がるという話です。
AI検索(AI OverviewsやChatGPT等)経由のアクセスをどう計測すべきか、そしてこれからのブランドはどう評価されるべきか。複数の記事が捉えている共通の巨大なテーマです。
◆詳細記事
AIトラフィック計測の現在地 ─ GA4・Microsoft Clarityが同時アナウンス(株式会社ナンバー)
「AIに評価される」って喫茶店のおばちゃん対策のようなものだと思っている(運営堂)
AIが推奨するブランドの共通点は?8業界200ブランドのSEO相関分析(株式会社プリンシプル)
◆DEEPなチェックポイント
5月中旬、GA4とClarityが揃って「AIトラフィック計測」のアップデートをアナウンスしました。AIからの流入を正しく可視化する準備が整いつつあります。
しかし、より深い問いは「では、どうすればAIに自社ブランドを推奨してもらえるのか?」という点です。プリンシプル社の分析では従来のSEO指標との相関が示されていますが、運営堂の森野さんが指摘するように、それは「機械に媚びる」ことではなく、「AIという、自社を代わりに紹介してくれる強力な媒介者(エージェント)に対して、いかに「AIの誤解を解くか」ということだ」というものです。それは喫茶店で噂話をするおばちゃんと同じ、本人に確かめず周囲の情報で人物像を組み立てる、という比喩が秀逸です。
GTMのプレビューモードではタグが発火しているのにGA4 DebugViewにイベントが届かない、カスタムHTMLタグだけが動かない、dataLayerが期待通りに入らない。こうした現場で起きがちな症状の背景として、Content Security Policy(CSP)との関係を整理した記事です。あわせて、GTMコンテナの公開通知をSlackで受け取る運用記事も、計測事故の早期発見という観点で実務的です。
◆詳細記事
GTM と CSP の関係を整理する(株式会社ナンバー)
GTMコンテナの公開通知をSlackで受け取る方法(株式会社ナンバー)
◆DEEPなチェックポイント
計測担当者はタグ、トリガー、変数の設定に目が向きがちですが、実際にはサイト側のセキュリティポリシーがタグの実行可否に影響します。CSPは本来、外部スクリプトの実行や不正なコード注入を制御するための仕組みですが、設定次第では計測タグやカスタムHTMLタグにも制約がかかります。
ここでの示唆は、計測品質を「GTM内の設定品質」だけで捉えないことです。これからのタグ運用は、マーケター、アナリスト、エンジニア、セキュリティ担当が共有する変更管理の問題になります。CSPの許可ドメイン、タグの種類、公開前確認、公開通知、ロールバック手順を一連の運用として設計しておくことで、数字が欠けてから慌てるリスクを下げられます。計測は分析の前工程ではなく、分析の信頼性そのものを支えるプロダクト運用だと考えるべきでしょう。
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