コラムバックナンバー

2022年も年の瀬なので、それっぽい話を書いてみます。今年の感想は「GA4のハンドルを握るも振り回されているなあ」という渋いものでした。今回は10月に書いたコラムからもう少し前向きに「GA4をどうやって組織で機能させるか」と捉えてみることにします。

GA4はデジマの現場で実用に足るには高いハードルがある

このときは解決策を妥協案として3つ挙げました。

a)改善や最適化を軸とした別のツールも導入する
b)Looker Studioなどでレポートを整備する
c)しかるべき人材を獲得する、育成する

今回は少し順序を変えて話を進めてみます。

◆人材を採用する、育てる

人を採用したり育てたりするというのは理解しやすい進め方です。仮に「GA4の扱いに長けた人を」という直接的な表現にするとわかりやすいでしょうか。

GA4を扱える人がチームにいるのは理想の一つです。しかし企業にそのような人が少なくとも誰か一人いるイメージをあまり持てません。

試しに「先月のWebサイトのユーザー数とページビュー数の正確な数字は?」とGA4の標準レポートから調べてもらってみてください。驚くかもしれませんが、GA4に詳しくないあなたのチームメンバーはなかなかたどり着けないはずです。簡素に見える内容なのに、です。

「皆が思っているほどGA4は分析するツールではなさそう」というのが一因です。「探索レポート」は優秀で有用なのですが、敷居は少し高いです。「別途契約したBigQueryにデータを蓄積して、そこでSQLにて呼べばもっといろいろな角度で取得できますよ」というのが提供側の意図でしょう。

しかし世の中は人材不足です。加えてノーコードやAIや自動運転が台頭している中、何か数字を把握するたびにSQL必須などというのは時代の流れではないとも感じます。一方で、ワークマンのように「全員Excel経営」から「全員データサイエンス経営」への可能性を提示し始めている例もあり、自分たちの組織はどの道に進むのかという判断で変わりそうではありますが。

もちろん手をかけた分析の必要な場面があるのは理解しています。しかしGA4は日常使いの設計ではない印象です。

◆いやしかし「GAの扱いに長けた人材」で良いのだろうか?

人を採用しよう、育てようというのはわかります。しかし「GAの利用に長けた人材」「デジタルマーケティングに長けた人材」で本当に良いのだろうか?という視点は持ってよいはずです。

GA4をポジティブに捉えてその恩恵を自社リソースと成長予想を鑑みて取り込もうとしたとき、GA4の扱いに長けた人の確保で物事が安泰ということはないでしょう。

ツールや手法を使いこなせるのは副次的なものでもあります。あなたの組織は問題や課題をしっかり捉えられる人の方が必要かもしれません。文字通り、自社が何を「課題」として捉えているかによって変わる事項です。

ノーコードや自動稼働のツールが増えて人の求められる役割が「思考」になり始めたとき、「人が本来取り組まなければならない領域はどこか」を定めて人材の計画に向き合わなければいけません。短期的な視点と長期的な視点が入り交じった論点です。

◆別のツールも導入する

別のツールも導入するという案です。必ずしもGA4に頼らなくてもビジネスを前進させる手段を確保しておくものです。ヒートマップやWeb接客などのコンバージョン最適化ツール、顧客リストへのアプローチを管理するMAツールなどがイメージしやすいでしょうか。

人を育てつつそれまでの過渡期に回る仕組みも確保しておく、あわよくば将来それらでレバレッジを効かせられたらハッピーでしょう。

またGA4を組織にどうインストールするかを考えたとき、GA4は顧客の行動データを蓄積したプラットフォームの一つであると捉えれば視点が変わるかもしれません。

GA4をばりばり触れる人を抱えるのではなく、連携した他ツールから示唆を得られるようにする方が自社にフィットするケースもあるはずです。まだ多くはないですがそのようなツールを積極的に検討し採用していく姿勢もありだと思います。

ハンドリング必至のものとして捉えるのか、仕組みの一つとして組み込む未来を構築できないかと考えるか。

GA4のクセの強さや取っ付きにくさを考えると仕組みとして取り込めたら理想なのかなあ、というひとりごと的な感想を抱きつつ、2023年は良い夢を見られるでしょうか?

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

コラム担当スタッフ

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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