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GA4の登場でウェブやアプリの行動ログをBigQueryに出力して分析する土台が提供されました。ユニバーサルアナリティクスの時は有料版でないとなかった機能で、使えるアカウントが限られていたわけですが、基本的にすべてのアカウントで使えるようになったわけです。ただしBigQueryつまりGCP(Google Cloud Platform)を使う必要があります。

またGoogleはこんなこともやっています。

TaglessCRM

広告のオフラインコンバージョンやオーディエンスリストを自社データからアップロードするプロジェクトです。こちらもGCPを使うものです。

あとGoogleタグマネージャのサーバサイドタグもGCPを使うものですね。

といったようにGoogleはこれからのデジタルマーケティング、特にサードパーティcookieの次の時代に向けてさまざまなソリューションを提供している。しかもコスト面でのハードルを下げています(いずれもGCPの従量課金コストのみで、小規模なら低コストで済む)。一方でこれらの活用はGCPが前提となっているのです。そこではやはりクラウドの知識がある程度必要になります。そうでないとコスト管理やセキュリティ面でも不安が大きい。

たとえばBigQueryを使う際、クエリ結果をデータポータルに出力して可視化をすることがよくあります。その際にデータソースとクエリの設計、コストの確認をきちんとやっておかないと従量課金のコストに跳ね返ってきます。データポータルはお手軽で便利なのですが、BigQueryと一緒に使う場合は無邪気にクエリを発行することがあるのです。さらにはBigQuery固有のネストされたデータを使う際は特に相性が悪く、ネストされた部分すべての領域を読み込む必要があるため、処理するデータサイズが大きくなることがあります。その結果コスト爆増というケースも目の当たりにしましたし、意外と付き合うのが大変だなと痛感しました。単なるSQLを書けるというのではない、BigQueryの知識が必要なんだなと。なおデータポータルでBigQuery連携する際は、データポータルでなくBigQueryの画面側で実際に発行されたクエリとコストを確認するのをお勧めします。

また最近Google SheetsのConnected Sheetsという機能がすべてのアカウントに公開されました(以前は一部のGoogle Workspaceライセンスのみだった)。Google Sheets上で直接BigQueryのテーブルのデータを表示して操作できる機能なのですが、これも立派にクエリコストがかかります。実際にこの機能を使う際には処理データサイズが表示されるので留意しておくことをお勧めします。

クラウドを使う上では権限設定も欠かせません。分析者のユーザアカウントを追加する際に必ず権限設定をやることになります。クラウドの権限管理って、結構難しいんですよね。リソースとロールに関する広範な知識が必要になる。権限設定は即情報漏洩につながる重要なポイントです。

またGTMのサーバサイドタグではApp Engineの環境の知識もあったほうがいいですね。

こうして考えていくと、最近のGoogleについていくならクラウドのわかるエンジニアが必要なのかなと強く感じさせられます。でも難しい。そもそもGCPのエンジニアが不足しているのです。GCPをサポートしてくれる会社も本当に少ない。サポートしてくれる会社もエンジニア集団なので、彼らとのコミュニケーションを取るのも大変です。しかしこういった新しいソリューションに向き合わないのは機会損失。正直プロの目線でも、この狭間で現実的にどのような姿勢で臨んでいくべきか、明確に答えを出せないのが悩ましいところです。Googleはさまざまなソリューションがデータの民主化に貢献しているのは間違いないのですが、まだ民主化と手放しに言えるのは先かと思います。

コラム担当スタッフ

柳井 隆道

Option合同会社
代表社員
マーケティングテクノロジスト
marketechlabo

東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。

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