コラムバックナンバー
株式会社Rejoui 菅 由紀子
発信元:メールマガジン2022年7月20日号より
前回のコラムではデータを入手する力とその重要性について寄稿しました。今回は意外と認知が低い「データの民主化」について少し触れます。データを公開し、社会に役立てられるよう整備する企業も増えてきました。今回は非常に有用なデータでありながら、あまり広く知られていない「統計ミクロデータ」についてお話ししたいと思います。
ミクロデータとは、集計処理されていない個々のデータ、個票のことを言います。日本国内で実施される多種の統計調査には当然ですが個票が存在しており、匿名加工されたものが総務省統計局により提供されており、手続きをすることによって加工・集計、分析し学術研究や教育の場面、社会貢献活動などに活用することができます。
匿名加工データとして提供されている統計調査は下記のとおりです。
– 国勢調査
– 全国消費実態調査
– 社会生活基本調査
– 就業構造基本調査
– 住宅・土地統計調査
– 労働力調査
– 国民生活基礎調査
国勢調査はいわゆる全数調査ですから、これだけで約4800万件の世帯のデータが入手できることになります。過去4回分が提供されていますので、これだけでもかなりの容量のデータです。
匿名加工データとしての提供の他に「オーダーメイド集計」という提供方式もあります。これは利用者が集計項目を既存の分類項目から選択して申請することで、統計データの所管官庁が集計・作成し、提供するものです。手数料が必要ではありますが、提供されているデータは匿名加工データ以上に幅広いデータが用意されています。総務省データ利活用センターや一部の大学には、調査票情報をそのまま扱うことのできるオンサイト施設もあります。
日本国では様々な統計データが取得されておりそれがこのように個票で提供されているのは素晴らしいことです。とはいえ、実はこれらのデータが公開されており国民が広く活用することができる、というのはあまり知られていないようです。日本国内の様々な状況を捉えることのできる、この個票データの活用が、あらゆる分野、とりわけ社会課題の解決には大いに期待できるものであるはずです。
しかし、これら国が実施する基幹統計などの調査データだけでは社会課題の解決には不十分です。2022年現在、高校でのデータサイエンスの教育も始まり、データの利活用は今後さまざまな産業の発展、地域課題の解決に役立てられるはずですが、国が実施する統計調査以外のデータについてはその統合管理やこのような形での提供にまだまだ課題がある状況です(都道府県単位ではデータが存在していても、市区町村単位で取得されているケースは少ない、あるいは統計処理されたデータすら公開されていない)。こういったミクロデータの取り扱いスキルがない、ということも理由として挙げられるかもしれません。日本国内におけるデータサイエンス力の底上げは教育の場面から変わり始めましたが、行政や社会課題の解決におけるデータの利活用については、リスキリングやリカレント教育などにその役割が期待できるのではと思います。
株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。
2026/09/15(火)
セミナー「生成AIのデータ分析 現場のリアルとこれから」 【a2i DEEP Connection】|2026/9/15(火)
【開催中止のお知らせとお詫び】当セミナーは、主催者側の事情により、開催を中止することとなりました。 お申込みいただいた皆様、ならびに参加をご …
2026/08/25(火)
オンラインセミナー「ノンデザイナー&ノンプログラマー向け 生成AI×クリエイティブ実践」|2026/8/25(火)
生成AIを活用すれば、ノンデザイナー・ノンプログラマーのマーケターでも、初期案づくりや突発的な制作をスピーディに進められます。 本セミナーで …
2026/07/15(水)
オンラインセミナー「はじめてのBigQuery生成AI分析 ― 費用と難しさへの不安を解消して、まず動かしてみよう」|2026/7/15(水)
「BigQueryでの分析が本命」とわかっていても、SQL、費用、設定の多さに身構えてしまう――そんな方に向けたセミナーです。 生成AIの進 …
【a2i DEEP INSIGHT】「AIでデータ分析」の理想と現実、試行錯誤から見えてきた現場の壁(8月度ニュース深掘り)
発信元:メールマガジン2026年9月2日号より今月a2iメンバーがピックアップした記事の中から、マーケターやアナリストが「DEEPな視点」で再考すべき5つのトピックを厳選してご紹介します …
【コラム】生成AIは個人=私自身を大きく変えた。では、企業のビジネスは?
アナリティクスアソシエーション 大内 範行BBCニュースの「Why Japanese firms are being so slow to use AI(なぜ日本企業はAI活用がそん …
【a2i DEEP INSIGHT】ボットが過半数のウェブ。「訪問者は人間」という前提が崩れはじめている(7月度ニュース深掘り)
発信元:メールマガジン2026年8月5日号より今月は趣向を変え、a2iメンバーがピックアップした記事の中からひとつのテーマに絞ってお届けします。「ウェブへのアクセスの過半数が、すでに人間 …