コラムバックナンバー

先日発表されたノーベル経済学賞の受賞者、デービッド・カード、ヨシュア・アングリスト、グイド・インベンスの3氏は「自然実験が知識の源泉となることを示し、因果関係に関する分析の質を高めた」ことによりノーベル賞の受賞が決定しました。3氏の研究は統計的因果推論にかかわるもので、データサイエンス・統計学に携わる人々の間では大きな話題となりました。経済学の分野においては原因と結果の関係性や事象の背景を把握することはかねてより行われておりますが、今回のノーベル賞の受賞理由で、今後のこの分野に対するさらなる発展に期待が寄せられています。

その理由の一つが、以前のコラムでも取り上げた「AIの説明可能性・解釈可能性」にあると私は考えています。解決思考で精度を高めていく機械学習、AIのアプローチは現在さまざまな領域で活用が進んでいますが、一方で人間は原因と結果を把握したい存在であり、近年「説明可能なAI」「解釈可能なAI」は注目されています。また、要因把握に重きを置く立場である統計的因果推論は、私のこの数年の1番の興味関心でもありました。それらについては過去のコラムで触れておりますので是非ご一読ください。

統計か? 機械学習か? 2021年どちらを学ぶべきか
説明可能なAI、解釈可能なAI

統計的因果推論とは何か

統計的因果推論は、観察や実験データから得られた情報をもとに、事象の因果効果を明らかにしようとする統計的アプローチです。特にマーケティングや医療の分野で広く使われているアプローチです。

押さえておくべきポイント

統計的因果推論そのものを専門的に学ぶことは、多くの方に求められるものではないと思いますが、これから注目される領域であるため下記については押さえておいていただいて良いのではないかと思います。

1)相関関係と因果関係の違いを説明できる
2)観測変数・潜在変数と因果関係について言葉の使い分けを押さえておく
3)因果効果がどのように定義されるかについて押さえておく

次回はこれらについて詳細を書いてみたいと思います。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

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