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セミナーやイベントがオンラインに移行して8ヶ月近くが経過しました。つい先日も、私が委員を務めるデータサイエンティスト協会のシンポジウムがオンラインで開催され、たいへん盛況でした。

オンラインイベントの良いところの一つは「登壇者に質問しやすい」ということです。会にもよりますが匿名での質問を許可しているイベントでは、登壇者に対する質問がとても活況です。非対面であることにより質問するハードルが下がるというのは大きいようです。私自身も、セミナー主催時はQ&Aの仕組みを必ず設けるようにしておりますし、できるだけリアルタイムにライブで回答できるよう心がけています。セッションは短めに、質疑応答を長めに双方向にというのが私の最近のセミナー開催スタイルです。

質問を受ける機会が増え、頻出する質問がいくつかあるのですが、そのなかでも多いのが「文系ですがデータサイエンティストになれますか」という質問です。

「文系ですが」という枕詞は、イコール「数学的素養に不安がある」ことを言い換えているのだと解釈しています。企業の中には、事業やプロジェクトに求められる専門性から、もちろん特定の学部・学科での専門性がなければ出来ない領域もありますが、主に「機械学習や統計的手法を用いて企業の課題解決を支援する」という立場でのデータサイエンティストであれば、広く門戸を開いている企業が多いと思います。データサイエンティストを多く抱える「ベンダー」と呼ばれる企業も文理問わず採用している企業がほとんどですし、「文理分断はしない」「融合のスキルを目的によって使い分ける」というのが私の基本スタンスです。

そうはいっても、基礎数学は必要不可欠です。データ分析、データサイエンスの領域で求められる基礎的な数学の能力とは、高校数学でカバーされている確率、微分積分、ベクトルなどの領域です。GUIで操作できる便利な機械学習、モデリングのツールも増えてきましたが、そういったものを多用する立場の方たちには、特にこれらをベースとして「機械学習のアルゴリズムが、どのように解を導くのか」の基本を理解をしておいて欲しいと思っています。ビジネスのシーンでは「数学は不要、こういったツールを使える人がいれば文系でOK」などと語る方もちらほら見かけるようになり、ここには大きく警鐘を鳴らしたいとすら思っています。基礎的なバックグランドがなくて不安があれば、高校数学から学習すれば良いですし、たいへん理解しやすく機械学習を解説している書物や動画も多く存在しており、学習方法は5年前よりも多様で選択肢は豊富です。

そして何より、分析者に大切なのはロジカルシンキングの力であり、プロジェクトの遂行には目的の定義と適切なアプローチの設計、結果の解釈のサイクルを回していくということが求められます。このデータサイエンスのサイクルは、課題研究、科学の基本ですね。文理で語らず、このサイクルの基本を学生時代にしっかりと身に付け、実務に活かす教育が行われていくこと、その一端を担える人間でありたいと日々思いを強くしています。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

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