コラムバックナンバー
株式会社Rejoui 菅 由紀子
発信元:メールマガジン2020年8月5日号より
データは21世紀の石油とも言われ、データ×AIがまさに世の中を大きく変革させています。データを扱う領域には様々な立場がありますが、データマイニング(掘削)と呼ばれる領域もあるため、うまく例えているなと感じる昨今です。一方、クラウドサーバーのコストが劇的に下がった事により「なんでも良いから全て溜める」「ハードコピーをとにかくデジタル化して格納しておく」という活動が4~5年前流行っていましたが、現在のサーバーコストがもはや当然となった昨今は「データは見極めて取捨選択する」動きが活発になって来ており、StayHomeで断捨離というのはデータの領域も同じであると感じています。この潮流をデータダイエット、データ断捨離と呼ぶ方もおられますが、今回はそれに役立つ [ ROD ] という指標をご紹介したいと思います。
RODとは ”Return on Data” の略称で、そのデータからどのくらい価値(リターン)が得られるかという指標です。
(データから得られる利益 - データのコスト)÷ データのコスト
により求められます。マーケティングにおけるROI(Return On Investment)と類似した考え方です。時代、そして価値観が劇的に変化し、あらゆることが急激にデジタルシフトしていくなかにあって、データの取捨選択は目下さまざまな企業の大きな課題であり、この考え方も急速に広まってきています。
データから得られる利益の1つは、[活用することで利益を上げるもの] です。顧客の購買ログデータやマーケティング施策の実行履歴データなどはイメージしやすいものかと思います。また、それらの行動履歴データと組み合わせるマスタ情報もこれらに該当すると考えられます。
もう1つが [その組織での生産性を高めるもの] です。業務システムの稼働履歴や社員の勤怠などがわかりやすい例としては挙げられるかと思います。
データのコストとしては、データを保持しておくサーバーやデータセンターなどのハードや管理するための人件費、データにアクセスするためのソフトウェア、およびそれを駆使して分析するための人件費、分析専用ソフトウェアなどが挙げられます。
データの管理コストも下がり、分析専用ソフトも安くなってきましたが、IoTデバイスの普及、5Gの開始により取得できるデータの単位はより細かくなり、リアルタイムに取得されるため量は指数関数的に増加しています。そのため、それを処理するための分析基盤の保持には、これまでひたすらデータに勤しんだ企業にとっては大きなコストとなっています。これらを使いこなすデータ分析人材の人件費が高いことは言うまでもありません。
■価値を生むデータと必要データの見極め方法
では、どのようにして「価値を生むデータ」を見極めるか?ということについて気をつけるべきポイント挙げてみたいと思います。
1 目的に影響するかの仮説を洗い出す
目的を定めてデータを選定するのは分析プロジェクトの大前提ですが「捨てる」ときにおいてもこれは同様です。そもそもデータ蓄積時に「とにかくなんでも全量」溜めて来たのであれば、目的の再確認は必須です。企業の経営理念、事業の目的にとって「そのデータがどのように影響するのか」を、データのリレーション関係を把握したうえで検討できれば理想的です。
2 マスタ情報は要注意
行動履歴データに注意が向きがちで、属性情報やマスタ情報や洗い替えされるデータなどは見落とされがちです。これらが存在しないと、本来であれば有益な履歴情報がただの記号になってしまい、インサイトを得られないという事態になりかねず、慎重な判断が求められます。複数を組み合わせれば復元可能であれば、その限りではありませんが、その判断を行うためには課題そしてデータそのものへの深い理解が求められます。
管理コストの面から考えると、分析基盤に残すのは不要な情報を削ぎ落として必要最低限の項目のみを保持しておくことも求められます。断捨離、整理整頓をイメージするならば「必要なものを必要な分だけで見えやすくしておく(まさにインデックス)」といったところでしょうか。そして、同じく定期的にデータの断捨離を行えると、なお良いと思います。
2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等多数のプロジェクトを担当。
2016年9月にHR&Learning 分野専門の分析会社 Rejouiを設立。
アナリティクスアソシエーションプログラム委員、データサイエンティスト協会スキル委員。
株式会社Rejoui 代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールの非常勤講師としても活躍中。
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