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データサイエンスの世界に長く携わっておりますが、ここ数ヶ月依頼として増えているのは非構造化データ(=動画・音声・画像・テキスト)の構造化処理とそれに付帯した「人の感情」可視化・分析です。

■より身近になった非構造化データの解析
仮説を定めてデータから意味合いを解釈し、さらなる仮説を導いて検証していくというプロセス自体はデータ分析の基本的なサイクルであり、ビジネスは人を起点としていますので、ほとんどのプロジェクトにおいて「人の感情」を読み解くことは根本的には求められると思いますし、非構造化データを分析し「適切に言語化・定量化する」ということ自体は以前から行われていることですが、各種クラウドサービスなどによって非構造化データの構造化がある意味民主化されたことにより、チャレンジしやすくなったということと、激動の時代にあって「人の内面を見よう」とするアプローチを求める方が増えたのではないかと考えています。

■感情の分類軸
現在、私の手元には「音声を解析して話者の感情を分析・分類する」「画像を見た際に閲覧者が受け取る印象を自動分類する」「働き方についてのアンケートで取得されたコメントを分類し『感情のワード』で表現する」というプロジェクトがあります。これらに共通しているのは感情の「分類」をどうするかという課題です。感情を表す日本語は実に多種多様であり、「喜び」一つとっても 楽しい / 嬉しい / 歓喜 / 満足 などとどう住み分けるか、といったことや、その「度合」をどう表すかといった課題もあります。そもそも「感情」自体が何種類、と決めることは非常に難易度が高く、とはいえ闇雲に行うこともできませんので、私は「プルチックの感情の輪」を参考に分類軸を考えています。

■プルチックの感情の輪
プルチックの感情の輪(Wheel of Emotions)は、1980年にアメリカの心理学者ロバート・プルチック(Robert Plutchik)氏が提唱した、感情の分類チャートです。

感情リテラシーを高める プルチックの感情の輪

この感情の「輪」では、まず基本感情として8つの感情があるとされています。その8つの感情とは、
怒り / 恐れ / 期待 / 驚き / 喜び / 悲しみ / 信頼 / 嫌悪
です。輪は花の形のようになっており、花びらの3層はそれぞれの感情の強度を表しています。感情は花の中心に向かっていくほど強くなっていくとされています。
対極にあるものは、それぞれ対の感情となっています。分析時には、これらの感情分類を参考にしつつ、見いだせた感情の「対」となる視点が現れていないかを意識するようにしています。

■対極の視点と言語化能力
私自身、感情の分析に限らず、データから何か見いだせたときには「対極的視点」に立つことをモットーとしていますが、感情の分析に関しては特にこの視点を意識しています。また、この分類を軸とした「感情表現」となる適切な言語を突き詰めて考えるようにしており、分析結果を定量的に提示しつつ、もっともふさわしい定性的な表現は何かを突き詰めるようにもしています。それはつまり適切に言語化する能力であり、この能力に関してはデータ×AIが進化しても、「人」が担う領域ではないかと思います。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等多数のプロジェクトを担当。
2016年9月にHR&Learning 分野専門の分析会社 Rejouiを設立。
アナリティクスアソシエーションプログラム委員、データサイエンティスト協会スキル委員。
株式会社Rejoui 代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールの非常勤講師としても活躍中。

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