コラムバックナンバー

IoTデバイスの普及や来年5Gが到来することもあり、データドリブンに意思決定していくこと、データを活用してビジネスを行うことは、もはやどのようなビジネス領域でも求められるようになってきました。

私は自社でデータサイエンティスト、アナリストの育成も事業として行っている関係から「どのようにしてデータサイエンティストが活躍する組織を作るか」「データサイエンティストが課題解決してくれる組織を作りたい」「データサイエンティストの専門チームを持ちたい」というご相談を多くいただきます。また「即戦力となれるデータサイエンティストを紹介してほしい」という依頼も少なくありません。本日はこれらのご相談をいただく中で私が感じていることを書いてみたいと思います。

■組織戦略:即戦力採用か育成か
組織に専門家として何人かのデータサイエンティストが要る、もしくはその専門チームを持ちたい場合、組織としてまず即戦力メンバーで構成するのか、現在いるメンバーを育成するのか、という戦略の違いがあります。これはデータサイエンティストやアナリストに限った話ではないと思いますが、データサイエンティストのいる組織をどう構成するかについては戦略の違いが大きな結果の違いを招きやすいと私は考えます。どちらにもメリット・デメリットがありますので、そこを整理していきたいと思います。

■即戦力を求めた場合
経験豊富でデータの利活用が行える方が組織にいれば、様々なビジネス課題に答えを出すことができます。経験の長い方であれば、あらゆる課題に対応することもできるでしょう。また、そのメンバーが自社内で適性のある方を育成することも期待できます。分析対象となるビジネスドメイン特有の背景や課題の理解は時間がかかるかもしれませんが、優秀な人材であれば事前の課題整理から業務・システムの適用まで行える可能性も高く、ビジネスは大きく前進すると思います。
一方で、そういった優秀な人材を獲得するためには資金力が必要です。そして気をつけなければならないのはスキルのミスマッチです。自社のプロジェクトや課題に適したスキルを持っているか評価することは、採用側にも専門性がなければ判断が難しく、高額で採用したは良いがパフォーマンスが期待したものと異なる、ということはこの数年とても多くの場所で起こっています。また、スキルマッチだけでなく組織のカルチャー・風土に合うかも気にかけなければなりません。さらに、パフォーマンスの高い優秀な人材は他社に高額で転職したり、独立志向も高い方が多いと思いますので、組織内に引き止めておくための工夫も必要となるでしょう。

■育成して組織を作る
社内にかつて学生時代に解析の基本を学んでいた、機械学習の理論を学んでいたという社員を持つ組織もあると思います。そういった方をデータサイエンティスト、アナリストとして育成して組織する場合においてはどうでしょうか。まず、ビジネスドメインの理解がありますので分析の専門スキル、データ処理・エンジニアリングを中心にスキルを獲得すれば良く、そうして育成された分析者は課題解決を行う際、そのドメイン知識を遺憾なく発揮できると思います。
ただし育成にはそれなりに多くの時間を要します。その間、目下解決しなければならないビジネス課題をどうするかという問題は生じます。また、育成対象者のスキルの見極め、学習レベル、習熟度の見極めも行う必要があります。さらには、時間とコストをかけて育成したビジネスドメインの理解がある方が、高い市場ニーズを認識して流出してしまうリスクも気にかけなければなりません。

人材の流動性が高まる昨今、優秀な人材の流出というのはどのような組織であっても気にかけなければならない課題です。データサイエンティストはデータに向き合っている時どうしても孤独な職種でもあります。また、データに触れ続けていたい、マネジメントは行わずプレイヤーでいたい、と希望する方も多い職種です。加えて、技術の進化が速い領域ですから、新たな技術や手法をキャッチアップできる環境づくりも必要です。そういった職務であることを理解し、活躍できる組織づくりを行うことがマネジメント層には求められるように思います。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等多数のプロジェクトを担当。
2016年9月にHR&Learning 分野専門の分析会社 Rejouiを設立。
アナリティクスアソシエーションプログラム委員、データサイエンティスト協会スキル委員。
株式会社Rejoui 代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールの非常勤講師としても活躍中。

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