a2iコラム
株式会社Rejoui 菅 由紀子
発信元:メールマガジン2019年7月3日号より
IoTデバイスをはじめ、私たちの身の回りで取得できるデータは加速度的に多くなり、データ分析のニーズは増すばかりです。分析対象、目的を構造化して捉えることや分析の工程管理の肝要さはこちらのコラムでもお話ししてきましたが、ここ近年のプロジェクトで具体的に行っていること・心がけていることについて今回触れてみたいと思います。
■データ分析プロセスとプロセスごとのタスクを意識する
分析のプロジェクトには望ましい工程、タスクというものがあります。
分析プロジェクトの立ち上げと組み込み後の業務設計、データの作成と収集、データ加工/解析準備、解析・可視化の繰り返し、評価、業務への組み込みと評価と分析の工程は進みますが、このプロセスをしっかりと意識し、プロセスごとにどのようなタスクが発生するかをプロジェクトの関係者で共通認識を持つと良いです。分析のプロセス、タスクに関してはデータサイエンティスト協会が作成したIPAのタスクリストを参照ください。
■分析計画を依頼主とともに作成し、合意する
分析計画を作成すること、それをステークホルダーで承認することは、言うまでもなく非常に重要ですが、分析計画そのものをどのように作成するかという具体的な方法はあまり語られていないように思います。
目的の明確化を行い、考えられうる仮説や表現・可視化方法、必要データの検討など、先述のタスクリストを意識しながら計画を作っていくわけですが、ビジネスの現場では「目的の明確化」のみにフォーカスしてしまいがちです。
このようなケースの場合、ある程度のアウトプットが出てきた時点で「さらにこのような視点を加えたい」「新たなデータを加えた結果を検証したい」など、ある程度は想定できても依頼側のリクエストが肥大化しがちです。また、プロジェクトの工程が進むうちに新たなステークホルダーが現れ、そういった要望を加えられるということも、しぼしば起きます。分析の目的の明確化だけでなく、分析の計画そのものを合意しておけば、このような要望の肥大化を避けることができます。
計画の合意を行う際、分析の目的と考えられうる仮説、用いたいデータなど記載できるワークシートなどを用意し、ステークホルダーで集まって討議する機会を設けられるとより効率よく、効果的です。プロジェクトのリーダーは、これらワークシートに記載された情報をもとに目的の合意形成と仮説の構造化、必要データの精査を行っていくことができます。
■仮説出しは多様なメンバーで行う
分析目的に対して検証したい仮説を挙げて行く際には、一方の仮説に対する逆説的な視点であったり、多様な視点での仮説があることがより望ましいです。本当にそうなのか?反対に考えるとどうなのか? といった仮説が多く挙がると新たな発見につながりやすくなります。その分、集計・可視化の実施項目自体は増加してしまうように思えるかもしれませんが、仮説出しの場でデータを参照し、その場である程度の仮説を検証できると、これを効率的よく行うことができます。仮説を挙げる際も様々なフレームワークがありますが、これについてはまた別の機会でご紹介できればと思います。
株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。
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