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まもなく5G(次世代移動通信)の時代がやってくると言われています。通信事業各社は2020年からのサービス提供開始を目指しているとされています。ちょうど6/3も、6月中旬に自治体が全国に設置している約20万基の信号機をNTTドコモなど国内通信4社に開放し、次世代通信規格「5G」の基地局として利用できるようにすることが、新たなIT(情報技術)戦略の概要として閣議決定される見込みであるとの報道がありました。

5G基地局に信号機開放 全国20万基、23年度に

今回は、いよいよ5Gの時代に入る際に分析者が押さえておくべきことを記載していきたいと思います。

5Gは Fifth Generation の略で、第5世代移動通信システムとも呼ばれ、2019年現在、詳細な規格の検討が進められている次世代のモバイル通信システムの名称で、簡単に言えば4G(LTE)の次世代である規格です。超大容量・超高速・超大量接続、そして超低遅延の通信を可能にすると言われています。超大容量・超高速の通信である5Gは、最大で20Gbpsを実現し、これまでの4G(LTE)の約100倍の通信速度を誇り、 2時間程度の映画を2~3秒でダウンロードすることも可能であると言われています。
また、4Gと比較して10分の1とも言われる超低遅延が実現されるとも言われています。もはや声が遅れて聞こえる時代ではなくなるということになります。超大容量・超高速・超大量接続、そして超低遅延が実現されると、特にIoT、ロボット分野においては飛躍的な進化が起こることが期待されています。

この変化について、分析者としての立場で備えておかなければならないことは何でしょうか。それは、下記のような事柄ではないかと私は考えます。

– データの取得状況・取得背景を理解すること
– ビッグデータ特有の対応スキルを理解し、それを獲得していくこと
– IoTデータの規格や特性を理解すること
– 根幹的な骨組みとなる統計・機械学習の基本知識を得ること

容量が大きく、高速にそして遅延なくデータが集まるということは、それを瞬時に分析して施策を実行することが期待されるということになります。5Gで集められるデータは、まさに真の意味での「ビッグデータ」で、近年よく4V・5Vで語られたビッグデータの特徴を顕著に表しているといえるでしょう(ビッグデータの5V=Volume(容量)/Variety(多様性)/Velocity(スピード)/Veracity(正確さ)/Value(価値)。また、それを処理することのできる環境を用意できるのは「Venality(金次第)」と揶揄され、6Vと言われることもあります)。

ビッグデータの解析を行う際に特に留意しなければならないのは、データ量が指数関数的に増えることを考慮すること、ノイズが多いことがほとんどであるため、これをいかに効率よく取り除くかということ、そして何よりスパース(疎)性をいかに考慮するか、ということです。そして、これらを考慮するためには、どのような目的で、どのように集められたデータであるか取得背景を深く理解することが肝要です。
5G下で集められるビッグデータについても、これまでのビッグデータ同様の姿勢で良さそうですが、超低遅延=リアルタイム性が求められる、ということについてはかなり専門的なスキルが求められていくことになるのではないかと思います。また、IoTデバイスと5Gは必ずセットで語られますから(身につけているものから即座にデータが取得され、遅延なく連携されてくる、まさにIoTのための規格)、IoTデータの規格や特性を理解しておく必要もあるでしょう。

分析者のニーズはまだまだ高まる一方かもしれませんが、同時に求められるスキルも非常に高いものになってくるなと感じる毎日です。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

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