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先日、JMRA主催「市場調査におけるビッグデータ分析の現状と課題」というセミナーに登壇させていただきました。JMRAはマーケティング・リサーチ専門会社が集まり、業界の発展、倫理確立のため活動している団体で、加盟企業の殆どが社内に経験豊富なマーケティングリサーチャー、分析者を抱えています。

今回のセミナーは、市場調査業界としての課題と今後の展望、さらには人材育成の方向性をリサーチ会社はどのようにするべきかということがテーマでした。ビッグデータ関連技術、AI関連技術を取り入れて行かなければならないと思いつつも、なかなか腰が重い(あるいはそう感じている、それを課題として捉えている)リサーチャーの方々向けのセミナーだったのですが、マーケティングリサーチから分析のキャリアをスタートさせた私にとっては、全てのセッションがかなり興味深い内容でした。

なかでもパネルディスカッション時に会場から挙がった下記の質問は、昨今のリサーチ会社を取り巻く状況を表したもので、大いに盛り上がったと思います。その質問とは

「マーケティングリサーチャーは、リサーチの結果から消費者のインサイトを見出すことを得意としている。しかし、昨今取り沙汰される機械学習、AI的なアプローチは、ブラックボックスで要因把握できないものも多くある。そのような手法で結果が得られることは果たして望ましいのか、クライアントから要因やインサイトを求められたらどうするのか?」

というものです。リサーチャーの方々を取り巻く現状がよく窺い知れたご質問だったと感じます。

パネリストの方の答えは

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要因把握ができないもので実施することをクライアントと合意する
インサイトを見出したい場合はそのアプローチはふさわしくないと提言する
目的が何であるかを今一度整理し、それに即した手法選択を提示する
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といったもので、深く同意できる回答でした。いずれも目的の確認とクライアントとの合意を前提としましょうという内容です。

私のところにも手法ありきでのお問い合わせが少なくありません。分析しようとする課題に対する理解、手法に対する理解があれば起こらないことですが、その前提としてあるべき課題の整理が行われておらず、世の中で「精度が高い」と取り沙汰されている手法なのだから、それを行いさえすれば、と思われる方は非常に多いと感じます。
「分析を行うこと」「AIを活用すること」が目的となってしまい、本来の目的であるビジネスの課題解決がよく分からないものになってしまっては意味がありませんので、そういった場合はまず課題整理するところからプロジェクトをスタートさせています。課題解決のために武器を増やすこと、武器を研いでいくことは大切ですが、武器を持つことは目的ではありません。

このセミナーの自分自身のパートでもお話ししたことですが、ビジネスの目的は課題解決で、そのためにはロジカルに考えアプローチを設計することは不可欠です。数々のアンケート設問の設計を通じ、インサイトを得るために様々な角度からアプローチできるマーケティングリサーチャーの方々は、むしろこれから活躍の場が増えるのではないかと感じたセミナーでした。また、得られたデータからインサイト(もしくは目的に対する答え)を見出すということは特定の職種に限ったことではなく、これからのビジネスパーソンにとって不可欠であるということを再確認させていただきました。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等多数のプロジェクトを担当。
2016年9月にHR&Learning 分野専門の分析会社 Rejouiを設立。
アナリティクスアソシエーションプログラム委員、データサイエンティスト協会スキル委員。
株式会社Rejoui 代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールの非常勤講師としても活躍中。

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