コラムバックナンバー

毎月a2iメンバーがピックアップした記事の中から、マーケターやアナリストが「DEEPな視点」で再考すべきトピックを厳選してご紹介します。

2026年9月は、納得感のあるGA4での深い分析手法と、生成AIの影響の両者が交錯する月でした。
今回は3つのトピックをご紹介します。

【1】【GA4の深掘り実践】平均値の罠を抜け出す──ランディングページの「その後」とユーザーの類型化

GA4を導入したものの、「以前のユニバーサル アナリティクス(UA)ほど改善の示唆が得られない」「表面的なPVやコンバージョン数を見るだけで終わってしまう」という声は、現場で今なお耳にすることが少なくありません。

そうした中、株式会社真摯(Cinci)代表のいちしま泰樹氏が公開した2つの記事は、GA4のデータを表層的な集計で終わらせず、ユーザーの行動意図を見極めるための優れた実践知を提供しています。

◆詳細記事
GA4でランディングページの「その後」を分析する(株式会社真摯)
GA4で「どんなユーザーがいるか」を整理する、ユーザーエクスプローラのもう一つの使い方(株式会社真摯)

◆DEEPなチェックポイント
この2つの記事にあるのは、「集計結果や平均値ではなく、データの向こう側のユーザーに迫りたい」というWebアナリストの本質的な課題意識です。

1つ目の記事『ランディングページの「その後」を分析する』では、LP単体の直帰率やCVRを見るだけでは不十分であるとし、「そのLPから流入したユーザーが、2ページ目以降に何を見たか」を可視化する手法が紹介されています。
この手法は、ユニバーサル アナリティクスの頃から、「ユーザー像がよりクリアに見える分析手法」として知られていました。けれどもGA4に移行してからは機能の制約から思うように再現できませんでした。
いちしま氏は見事にその壁を突破されたのですが、実装にはGTMでの高度な工夫が必要です。

Googleタグマネージャー(GTM)を活用して、各ページビューに「セッション内の閲覧順(1ページ目、2ページ目…)」と「セッション開始時のランディングページ」の情報を付与。これをLooker Studio等のBIツールで集計することで、LPを訪れたユーザーが次に「商品情報」を求めたのか、「事例」を探したのか、あるいは意図しないページへ迷い込んだのかを浮き彫りにします。
重要なのは、全行程の複雑なファネルを追うのではなく、「LPの次の1歩(2ページ目)」に絞ることで、ユーザーが判断に必要な情報を得られているかを現場レベルで素早く検証できる点です。

2つ目の記事『ユーザーエクスプローラのもう一つの使い方』は、ユーザー像を俯瞰する手法です。
ユーザーエクスプローラといえば、特定個人の行動ログをタイムラインで追う機能として知られていますが、記事ではこれを「ユーザー単位の行動サマリーデータ」として活用するアプローチを提唱しています。
個々のユーザーの「総エンゲージメント時間」と「セッション数/閲覧ページ数」を抽出し、2軸でプロットすることで、サイト訪問者を「即離脱層」「じっくり比較検討している熱量の高い層」「定期的に情報収集するリピーター」などに分類(セグメンテーション)します。

「全体集計で出た指標の分析」から脱却し、ユーザーをよりクリアに描き出す手法は、大きな示唆を含んでいます。
ツールに与えられた分析から発想を切り替えて、ユーザーを深く理解するためにGA4を設計し直す姿勢こそが重要だと考えさせられます。

【2】【データ人材の役割再定義】「さよなら、データサイエンティスト」が突いた痛烈な現実

データ分析や機械学習に関わる人々に共通する課題を綴ったブログ記事が、a2iスタッフの間でも大きな共感を呼びました。
ブログ「今日もデータで飯を食う。」に投稿された『さよなら、データサイエンティスト』という記事です。生成AIが高度化する中、データサイエンティストやアナリストの仕事はどう変化しているのか、現場の当事者としての強い危機感が綴られています。

◆詳細記事
さよなら、データサイエンティスト(今日もデータで飯を食う。)

◆DEEPなチェックポイント
筆者のnjun氏は、現場で起きている変化を率直に語っています。
これまでデータチームに寄せられていた「施策のA/Bテストに有意差があるか」「この指標の推移を集計してグラフにしてほしい」といった定型的な分析依頼が激減し、事業部門の担当者が直接AIと壁打ちして自己完結するケースが増えてきたといいます。
また、分析者自身の作業時間も、AIによるコード生成や集計の自動化によって大幅に圧縮されました。

ここで投げかけられている本質的な問いは、「仕事がゼロになるか」ではありません。「AIが最初の分析やコードを瞬時に出す時代に、残った確認作業や難問対応だけを担当する人間に、これまでと同じ高い報酬(単価)が支払われ続けるのか」という点です。

依頼を受け取ってSQLを叩き、集計結果を返す──いわば「分析依頼を待ち、答えを返すこと自体に値段が付く働き方」は、急速にコモディティ化しつつあります。

では、データ人材はどこへ向かうべきなのでしょうか。
記事が示唆するのは、統計や分析の専門性をベースに持ちつつも、受動的な「社内下請け」から脱却し、自ら事業やプロダクトの文脈に深く踏み込んでいく役割です。ひと言で言えば、事業そのものを前進させる側に回るということです。

「データを取り出せること」自体の希少価値が失われた世界で最後に残るのは、「そもそも今、ビジネスにおいて何を問い、何を解くべきなのか」という文脈の理解と問いを立てる力です。
データサイエンティストにとどまらず、すべてのWebアナリストやマーケターが自身の立ち位置を再定義すべきタイミングに来ています。

【3】【対話型AIの広告経済圏】急拡大するChatGPT広告、熱狂と現場のギャップ

生成AIは、「広告プラットフォーム」としても真に有効なのでしょうか。
OpenAIが展開する「ChatGPT Ads」は、事業開始から200日足らずで年換算売上高が10億ドル(約1,600億円)に達したと報じられました。
リリースして間もない初期フェーズでの成果は華々しいですが、一方で、広告主や運用現場は、これからより現実的な試行錯誤のフェーズに入っていきます。

◆詳細記事
「ChatGPT」広告、年換算の売上高10億ドルに 開始200日足らずで達成(ITmedia NEWS)

ChatGPT ads are still generating little revenue(TechCentral.ie)

ChatGPT ads are still generating little revenue

◆DEEPなチェックポイント
OpenAIが株式公開(IPO)を視野に収益の多様化を急ぐ中、ChatGPT Adsの急成長はプラットフォームとしての可能性を鮮烈に印象づけました。
提供地域も欧州やインドなどへ順次拡大されており、生成AIがGoogleやMetaに並ぶ新たな運用型広告のフロンティアとして台頭する可能性を強く感じさせます。

しかし、TechCentral.ieが報じたカナダのデジタルマーケティング代理店(Choice OMGなど)の現場証言によれば、「期待した成果がまだ得られていない」「少額キャンペーンでは採算が合わない」といった声も根強く存在します。
OpenAI側がターゲティング精度の改善を進めているものの、広告主の実感値との間にはまだ乖離があるのが実情です。

このギャップが生じる背景には、対話型AIがこれまでの検索やSNSとは根本的に異なるユーザー接点であるという点が影響しています。

従来の検索連動型広告であれば、ユーザーが入力した明確なキーワード(「旅行 保険 おすすめ」など)に対して広告リンクを提示するという、20年来確立された作法がありました。
一方、ChatGPTの利用者は、個人的な相談、思考の壁打ち、コードのデバッグなど、極めて文脈が多様な対話を行っています。

そうした会話の流れの中で、ユーザー体験を損なわずにどのようなタイミングでスポンサー情報を提示すべきか。媒体の学習アルゴリズムも広告主側のクリエイティブ設計も、いまだ最適な方程式を模索している段階です。

日本国内でも2026年6月にローンチされて以降、多くのマーケターが注目していますが、「実際に成果は出ているのか」「従来の検索広告やSNS広告と何が違い、どのような落とし穴があるのか」という一次情報はまだ限られています。

この「ChatGPT広告のリアル」を深く知る機会として、a2iでは10月14日(水)にオンラインセミナー「ChatGPT広告の現在地とこれから」を開催します。
日本でのローンチ直後からいち早く実案件での出稿・運用を手がけてきたブルースクレイ・ジャパンの里村仁士氏をお招きし、実際の管理画面の挙動、配信数値データ、パフォーマンス傾向、運用の注意点までお話しいただきます。
対話型AIという新しい広告接点にどう向き合うべきか、ぜひご参加いただき、次の施策のヒントを掴んでください。
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今月は「生成AI×データ分析の現場のリアル」というテーマで5本のトピックをお届けしました。

今月取り上げたトピックに共通しているのは、AI分析の成否を分ける要因が、最新モデルの性能そのものではなく「人間とAIが協働するためのワークフローと仕組みをどう設計するか」にあるという点です。

AIをただの集計代行として使うのか、それともビジネスの意思決定を加速させる強力なパートナーとして組織に組み込めるのか。いま私たちは、その分岐点に立っています。

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【a2iからのお知らせ:オンラインセミナーのご案内】

10/14オンラインセミナー

オンラインセミナー「ChatGPT広告の現在地とこれから」|2026/10/14(水)

2026年6月の日本ローンチ以来、急速に利用が広がっているChatGPT広告。
機能のアップデートも速く、広告運用者は試行錯誤の真っ最中です。
今回は、いち早くChatGPT広告に着手し、経験を重ねてきたブルースクレイ・ジャパンの里村仁士氏を講師に迎え、実際の出稿・運用事例をもとに、管理画面の挙動から配信数値データ、パフォーマンス傾向、運用の注意点まで「生の実態」をお話しいただきます。

第二部では、a2iセミナー編成委員の寳洋平氏(アユダンテ株式会社)も加わり、「これまでの広告とは何が異なるのか」「対話型AIの広告、これからどうなる?」という少し先の未来も含めて深く対話します。

■ 開催概要
[日時] 2026年10月14日(水)14:00~15:30(予定)
[形式] Zoomウェビナー(オンライン配信)
[講師] 里村 仁士 氏(ブルースクレイ・ジャパン株式会社 代表取締役会長)
[企画・司会] 寳 洋平 氏(a2iセミナー編成委員、アユダンテ株式会社)
[参加費]
 ▼有料法人会員・有料個人会員 :無料
 ▼ライト会員(一般参加):どちらかのチケットを選べます。
  4,400円(このセミナーのみ参加する)
  5,500円(ファイナルパス会員になって、今後のオンラインセミナーが原則無料)

◆ セミナー詳細・お申し込みはこちら

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