コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2022年6月15日号より
え、最近のおもしろいことですか?
Twitterで、フォロー関係の外側からわからないようにコミュニケーションを取っているのを見かけることあるじゃないですか。フォロワーとの関係性や自分が誰かを特定できないようにして、匿名アカウントだったり、あるいは鍵アカウントだったり。職場や学校に身バレしないように、あと公式アカウントとか「推し」とかにすぐに見つからないように。
例えば、特定されそうなキーワードを避けて伏せ字を使ったり絵文字や隠語を使ったり、内側にボールを投げ合っているように見えて、でもわかる人にはわかるようなコミュニケーション。「検索よけ」ですよね。あるいはメンションもせずスレッドにもせず、互いに各自のタイムラインに独り言のようにツイートしながら、でも親しい間柄の中では会話は成立していて、楽しそうにエアリプでやりとりしたり情報を共有したりしているというもの。
あれって前からおもしろいと思っているんですよね。ログにあまり残らないようにして、でもちゃんと互いにやりとりをしていたり、本音を発信したりしているというの。若い世代に多いとか言われますけど、でもこれ僕もときどきやりますよ。世代に関係なく一部の人はやるんじゃないですかね。
はたから見れば、そこにエンゲージメントと呼ばれるようなものは見えにくいんですよ。シグナルとかアクションはないじゃないですか。でもコミュニケーションに熱量はちゃんとあって、計測されないエンゲージメントがそこにあるんですね。内容も自分自身も特定されないようにしているけれども熱のこもった言葉を投げていて、みんなでキャッキャウフフしている感じ。
企業とかブランドとかがそれをそれとして受け止めて、その文脈と存在を肯定することって大事じゃないですかね。クローズドでどんな会話がされているかわかりにくいけれど、体温の高いコミュニティとして受け止める。そしてクローズドなコミュニケーションでも受け入れられる素材を準備したりして、でも会話の邪魔はしない。無理に表側に連れてこようとしないし、RTやいいねもやめておく。皆それぞれに楽しみ方があって、皆それぞれに多種多様なマイノリティで、それらを尊重して、外側からは見えにくいですけれどもどうぞコミュニケーションを続けてください、と。
そのような、本流じゃないけれどもひとつのコミュニケーションとして設計するケースが少しずつ増えるんじゃないですかね。チャットとか音声のコミュニケーションツールなんかもだいぶ普及してきましたし。
計測やCookieといった「特定」からの解放を尊重しつつ、デジタルな囲いから離れてもなお彼ら/彼女らはブランドの声を聞こうとするし、自分たちの文脈で反応もする。ダークソーシャルの中のコミュニケーションなのでその様子はわからない。でも、結果としてふんわりとした不思議なターゲティングは機能している。
そんなデジタルな世界が、これまでのオルタナティブとして存在してもいいですよね。オルタナティブというか、数あるいくつものバリエーションの一つというか。
あれ?なんか大事なことを喋った気もするんですけれど、このスペースの音声って保存できるんでしたっけ?
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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