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Web解析の界隈では否応なしにGA4の導入移行に向き合わざるを得なくなった昨今ですが、これまでカスタマイズの計測を重ねていたところはなかなか重いタスクです。企業によってはある種のデータインフラの一つのところもあるでしょう。「向き合わざるを得ない」という表現が後ろ向きなので、ここは機会と捉えてポジティブに向き合いたいです。

組織的にダッシュボードでKPIをモニタリングしたり、さまざまな粒度のユーザー行動を計測していたりするところは、「KPIや計測設計の棚卸し」の良い機会のはずです。従来使用していた指標の定義が変更になりそれを踏まえる必要があるのに加え、計測の増築で整合性がとれていなかったり計測仕様がバラバラだったりするのを整えるには、新しいツールへの移行は悪くないタイミングです。

・KPI、モニタリングしている指標の見直し
・従来の計測項目やタグマネージャー設計の棚卸し
・GA4の計測項目の再設計

「棚卸し→再設計」がまずは必要なステップです。特に計測項目の再設計では「どのような分析が想定され、そのためにはどのようなデータや連携が必要なのか」を考える必要があります。必ずしもすべてをGA4で巻き取る必要もなく、トリガーに対する具体的なアクションを他ツールで行うのであればベストな方法を取りたいところです。

GA4も従来と仕様が異なるため、例えば柔軟にコンバージョン設定をするなど異なる発想で取り組むこともできます。従来のユニバーサルアナリティクスでは、あらかじめ準備された20個の箱にそれぞれ異なる名前と設定を施していました。何らかの理由で箱の設定を途中で変更する場合、同じ箱に格納されるデータの連続性は維持されます。そのため、短いキャンペーンを多用してさまざまな粒度と種類のコンバージョンポイントを設けたい場合、特定の箱の使い回しはあまり都合よくありません。

GA4ではコンバージョンを最大30件設定できます。利用可能な箱が30個準備されているのではなく、アクティブな箱が最大30個であれば構いません。用途が済めばコンバージョンとしての利用をやめて、また必要なときが来ればやりくりしてコンバージョンとして復活させることもできます。キャンペーンが終わり分析等も一段落すればコンバージョン設定を外し、コンバージョン数の空きを確保するという運用ができます。

GA4の特性を生かしつつ、どのような分析が想定され、どのようなデータや連携が必要かを元に計測項目を再設計すること。加えて、運用でどのようなメンテナンスを行うかも想定しておくとより良いと思います。

コラム担当スタッフ

いちしま泰樹

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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