コラムバックナンバー
株式会社A-can 白砂 ゆき子
発信元:メールマガジン2026年3月25日号より
「ペルソナなんて、いらないのでは?」
最近、そんな声を聞く機会が増えました。
私がペルソナの要・不要を改めて考えるきっかけとなったのは、最近執筆したミエルカマーケティングジャーナルの「ペルソナ」に関する記事の企画会議。
現場の担当者というよりも、経営層や上位レイヤーの方々から、ペルソナは不要であるという意見がよく出るという話を聞きました。

戦略レベルで考えれば、「ターゲット」をある程度の粒度で捉えられていれば十分な場面も多い。市場や顧客セグメントを大きく見て意思決定する経営において、詳細なペルソナ設定が必須かと言われると、そうではないケースもあるでしょう。
また、多くの現場で「ペルソナ」が形骸化しているのも事実です。
年齢・役職・企業規模といった情報だけが並び、実際の施策には活かされていない。こうした状況を見れば、「ペルソナはいらない」と感じるのも自然なことだと思います。
コンテンツの現場に立つと、少し違った景色が見えてきます。
オウンドメディアの記事、キャッチコピー、広告クリエイティブ。
このあたりに関わる人は、ペルソナづくりにしっかり時間をかけている人が多い印象です。
こうした「言葉」や「表現」を扱う領域では、誰に向けて書くのかが曖昧なままでは、どうしても無難なものになってしまう。
これは、最近ますます強く感じるようになりました。
生成AIの普及によって、一定水準のコンテンツは誰でも作れるようになりました。構成も整っていて、情報も間違っていない。けれど、どこか似ている。読み終わっても、あまり印象に残らない。
印象に残るコンテンツとそうではないコンテンツ、その違いはどこにあるのか。
私は「誰に向けて書いているか」の解像度にあるのではないかと考えています。
ペルソナは、属性情報を整理するためのものではなく、背景を想像するためのものだと思っています。
なぜその課題を感じているのか。どんな状況で検索し、どのタイミングで意思決定するのか。何に不安を感じ、どんな言葉に反応するのか。
こうした部分は、単なるターゲット設定だけでは見えてきません。
そして、生成AI時代においては、この差がより重要になっていると感じます。
AIは「平均的に正しいコンテンツ」を作るのは得意ですが、「特定の誰かにグサッと刺さるコンテンツ」を作るのは苦手です。前提となる「誰か」が曖昧であれば、出てくるアウトプットもまた、どこかぼやけたものになります。
だからこそ私は、あえて一人の人物を思い浮かべながらコンテンツ制作をすることを大切にしています。
実在の顧客でも、過去に接点のあった担当者でも構いません。その人がどんな状況でこのコンテンツを読むのか、このクリエイティブを見るのかを想像しながら作ることで、自然と選ぶ言葉や切り口、デザイン、見せ方が変わってきます。
おそらく、ペルソナ不要論とペルソナ必要論は、対立するものではなく、「どのレイヤーで使うか」の違いなのだと思います。
経営や戦略のレイヤーではターゲットで十分な場合もある。一方で、コンテンツやクリエイティブのレイヤーでは、ペルソナの解像度が成果に直結する。
生成AIによってコンテンツ制作のハードルが下がった今だからこそ、その差はより顕著になっていくはずです。
コンテンツの質を分けるのは、情報量や構成の巧みさだけではなく、「誰に向けて書いたか、その人に何を伝えたいのか」なのではないか。そんなことを、最近改めて感じています。
今日のコラムは「ペルソナなんていらないでしょ」とおっしゃっていたらしい、某企業の創業者●●さんに向けて書いてみました。
2000年に転身してWeb業界に。制作会社、ポータルサイト、コンテンツプロバイダー、化粧品メーカーECと経験を積んで、2014年FaberCompanyに入社。SEO・コンテンツ施策のコンサルタントを4年半経験して、2018年に独立。
20社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計を行った経験を持つコンテンツマーケティング専門家。検索クエリなどのデータからユーザーの意図を読み取り、サービスへと繋げるコミュニケーション設計を得意とする。
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