コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2021年11月17日号より
店舗ビジネスに携わっている知人と話をする機会があり、いろいろと感じるところがありました。例えばWebの指標としてはオーソドックスなものでも、店舗ビジネスとしては貴重で価値あるもので、そこから危機感や緊張感を持って改善に向き合っているという話。
そこでは、顔認証と機械学習を組み合わせた来店者の新規リピート判定の技術を利用しているそうです。あくまで独立したデータのため、POSデータとは連動していないとのこと(おそらく連動するには越えなければいけないものが多くありそうに思います)。
Webサイトで言うところのユニークユーザーの把握、新規とリピートユーザーの判別、そしてリピートユーザーの通算訪問回数の内訳やリピート間隔日数などが把握できます。WebサイトではCookieベースですが、店舗ではそれが顔認証と機械学習の組み合わせによるものになります。
来店者数はこれまでもPOSデータなどから容易に把握できたデータですが、新規とリピート判別は顧客データを持つビジネスやアプリ活用を基盤にしなければ把握が少し難しいデータです。
来店者の新規リピートが判別できると、どういう分析視点を使えるようになるでしょうか。推測して挙げてみます。
・開店から1カ月後とnカ月後の、新規客の割合の変化
→時間の経過後、来店客の伸びを支えるのは新規客かリピート客か
・日別のリピート客の割合や人数
・通算来店n回以上のリピート客の割合(常連層の割合)
・リピート客の月間利用頻度
これらの来店者データと合わせて、POSデータの売上や客単価を重ねて見えてくるものもあります。
例えば、地域密着で根付かせようとした店舗で新規客の伸びが数か月後もまだ続いていればそれはどういうことなのか、来店者の期待と打ち出しているテーマとのギャップはありそうなのかなどのヒントを探れそうです。改善すべき方向が見えてくれば、「まだ新規客の伸びが続いている間に施策を展開してしまおう」と速い改善サイクルも求められます。
地元企業の店舗とチェーン店の新規オープンではデータの解釈も向き合い方も違うでしょうし、新ブランドでのオープンであればまたそれも異なるでしょう。
自分たちが知りたいと思っていたことのヒントが得られるようになり、そこからの解釈で必要なアクションを洗い出して早急にジャッジし、スケジュールを引っ張ったり早い期限を設けたりする。新しい技術やデータを目の前にして、様子見だったり斜に構えたりするのではなく、危機感を持って速い改善のサイクルを回そうとしている様子は、こうでもしなければ明日がない状況でもある店舗ビジネスの一端を垣間見たようで、基本でありながらも食らいついている姿勢を含めて大きな刺激でした。
このように食らいついても他の様々な要素で左右される店舗ビジネスですが、貴重な素材に気付けるかどうかはどのような領域でも大事なことだと思います。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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