コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2021年9月15日号より
パラリンピックの閉会式を見ていたとき、実況を務めるアナウンサーが話していた内容が印象に残りました。正確ではありませんが、このような趣旨だったと思います。
「選手たちはみな障がいのレベルが異なる。だから、お手本がない中で切磋琢磨して上を目指さなければいけない」
型はあるかもしれない、しかしお手本がない。みな事情が異なるけれども、それでもみな学んで取り組むのだ。そのように理解しました。
翌日、そのときの内容を思い出しながら、企業が他社の取り組みを参考にしたりして改善の取り組みをする様子と似ているかもしれないと感じました(障がい者の方々が向き合っているものとは大きく異なるので、違和感はお許しください)。
デジタルマーケティングにも分析手法にも型はあるかもしれない。セオリーもあるかもしれない。しかし企業それぞれに業界も異なれば企業固有の要素も多く、お手本にしたい他社企業はあれど結局は表面的な部分しかなぞれない。「まね」はできるけれども、お手本企業のその本質や実態はやはりわからない。つまるところ、結局はみな事情が異なるのだ、と。
他社事例の分析手法は「型」として参考になるかもしれません。しかし仮に同じような分析をしようとしても、自社固有の要素や事情が影響していることがほとんどです。改善の段階になっても、さらに他社とまったく同じようにというわけにはいきません。予算やリソース、ターゲット層、彼らが抱える課題や提供できるベネフィットなども往々にして異なります。表面的には似ていたとしても、実際の中身はかなり異なるはずです。
しかし、学ぶことはできます。顧客が抱えている課題、自社が置かれている環境やブランド認知、各チャネルでの反応や効果、それらから得たものを糧に自社なりに取り組むことができます。みな事情は異なる、けれども「自社なりに学び、自社なりに進む」という条件はみな同じです。
試行錯誤はもちろん当然として、切磋琢磨して自分たちにふさわしい取り組みをしなければならないというのはみな同じなのだ。当たり前のような思いに至りました。
デジタルマーケティングはアスリートのように華やかな世界とは限りませんが、私たちもアスリートと同じように自分たちなりに上を目指すのです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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