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プロジェクトが長く続いていたり安定軌道でしばらく経っているのであれば、KPIに質を表す指標を加えるべきでしょう。

・全体の指標からコアユーザーやコア製品群の指標へ
・規模を示す指標から割合や効果、比率を示す指標へ
・アクションやエンゲージメントの重視へ

例えば「ユーザー数」のような全体の規模を示す一般的な指標に加えて質の指標をKPIに設けることで、より取り組みや対象をフォーカスすることができます。全体のユーザー数に加えてコアユーザー数の把握やその割合だったり、フォロワー数に加えてアクティブなフォロワーや発生しているエンゲージメントの状況を把握することで、より次のアクションを絞り込めます。

大きな枠の指標を追いかけていたとき、仮に施策結果と緩やかな相関があったとしても、そこで満足していれば要因にたどり着けません。ユーザー数が増加すれば、往々にして全体の売り上げを押し上げることもあるでしょう。しかしそこからキードライバーが何だったのかを掘り下げなければ、ユーザー数のような大きな枠の指標を動かす「大雑把な施策」を続けてしまいがちです。リソースが限られているのであれば、私たちはKPIのモニタリングから効果的な施策につなげなければいけません。

ゴールを動かすキードライバーは何か。いま追いかけている指標を分解して何がキードライバーか。

KPI設計で、ゴールをどのように因数分解してどの指標を選ぶかは、企業の文化や思想によって異なると思っています。力技で進める企業もあれば手堅く着実に進める企業もあり、両者の視点は異なります。言い換えれば、世の中に流通している一般的なKPI例や他社事例は、参考にはなれどそのままピックアップすべきものではありません。ゴールの因数分解も、「売り上げ」を「客数と客単価」に分解するのと「既存顧客売り上げと新規顧客売り上げ」に分解するのとでは、視点やその後のKPIのピックアップで大きく異なってきます。

プロジェクトの初期はまずは軌道に乗せるのが優先ですから、一般的な指標をKPIに設けても問題ありません。軌道に乗っているのであれば、より掘り下げて質を担保する指標を選ぶことで、より着実な前進につなげられるはずです。

コラム担当スタッフ

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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